私は子供の頃、給食だけを楽しみに学校に通っていた。しかし今年44歳になる私より上の世代には、「給食がまずくて本当に嫌だった」という人もいる。食の記憶や感覚というものは、世代を超えて共有するのがとても難しい。 よくご老人が「昔の塩鮭は小指の先くらいでどんぶり飯が食えた」なんて語っているのも、その一つ。そんなにしょっぱい塩鮭の記憶がない私には想像しがたい。 だが築地場外市場で気になる商品を見つけた。
小説家になって23年。20冊目の小説を刊行することになった。 節目だからというわけではないが、自分らしい表紙にしたい。 かつて愛用していた四十年前のパソコン(MSX)で本の表紙を作ってみることにした。 今から二十年以上前に、小説の新人賞を受賞した。その僕のデビュー作を読んで、先輩の作家が質問をした。 「”筐体”って言葉が出てきたけど、あれなに?」と。 作中に「パックマンの筐体」が出てくるのだ。ゲームセンターに置かれていたテーブル型で、ブラウン管の画面が埋まっていて、レバーがついている、あれだ。 ……あれは「筐体」としか言いようがない。 僕はゲームとかデジタルなガジェットが大好きでどっぷり漬かって生きてきたものだから、ごく自然に出てきた言葉だったが、一般的にはかなり専門性の強い単語だったわけだ。 筐体みたいなものを自然と思って小説を書いていくと、一般的な人たちの興味や知識との間に相当な乖離が
大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー) 前の記事:半年前に駅前で見かけた食堂がどうしても気になるのでまた行った 先月も行った大和上市駅へまた向かう 山奥の人気ラーメン店「ラーメン河」を取材するために、2024年2月に大和上市駅まで電車に乗っていった。大和上市駅は奈良県吉野郡にある。私が住む大阪市内から電車を乗り継いで2時間弱はかかる距離だ。 大和上市駅からその「ラーメン河」までは車で15分ほど。その時は取材に同行してくれたカメラマンの方が割と近くに住んでいて、車を出してくれた。お店のラーメンは素晴らしく美味しく、取材もなんとかうまくいった。 その帰り、大和上市駅まで送り届けてもらって電車を待つ間、少しだけ周囲を散策した時に、なんとも雰
これ、公式の動画だから上手に補修できてるとかじゃないんです。マジで誰でもできるんです。あまりにも簡単すぎて、にわかに信じがたいですよね。 では、わたしが使用した時のビフォーアフターもご覧ください。 『マジでか?』と疑いたくなる気持ち、痛いほどわかります。歌がうますぎるアーティストの生演奏を見たときも、失礼ながら『…口パク?!』とか一瞬思っちゃいますもんね。 でも、こればっかりは本当なんです。 ここからは、クロバー株式会社(※)の回し者でも何でもないわたしが、ほつれ補修針のすごさについて、一介のファン視点で全力宣伝します。 (※クロバー株式会社・・・手芸用品を取り扱う老舗企業。本記事で取り扱うほつれ補修針を販売している。) そのほつれ、消えます では、製品の概要についてご説明しましょう。 クロバーのほつれ補修針は、細い針と太い針の2本セット。使用する生地によって使い分けます。 針の末端はザラ
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。 編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー) 前の記事:おれが令和最新版だ > 個人サイト webやぎの目 こんな怖いまんがみんな読んでんの? 林: 僕が紹介したいのはこれです。「ちいかわ」。 石川: ちいかわにこんな付箋つけてる人はじめて見ました。 林: ちいかわ読まなきゃと思って、全6巻買ったんですよ。 ネットで読めるものをわざわざ本で買うところもおじさんだなと思ったんだけど。 ちいかわってさ、すごい人気でショップも予約制でふらりと入れないんだよ。 石川: たまに1話ずつとか流れてきて読むことはあるんですけど、まとまって読んでないからあんまり知らないんですよ。 林: まず「今こんな怖いまんがみんな読んでんの?」って思った。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー) 前の記事:小学一年生の表紙を俺が飾る > 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮 日本一広いパン屋 パンが好きだ。小麦の匂いがたまらなく食欲を誘う。パンにはいろいろな種類があるので、いくら食べても飽きることがない。また私は広い場所が好きでもある。開放感を常に求めているのだ。 日本一広いパン屋「ますやパン麦音」に来ました! 北海道帯広市に日本一広いパン屋がある。それが「ますやパン麦音」だ。ますやパンの創業は1950年。いくつかの店舗があるのだけれど、その中でも「麦音」は日本一広いという素晴らしい特徴を持っている。 この広さ! 日本一! 敷地面積は11,000平方メートル。単独ベーカリーとしては日本一の敷地面積を誇っている。私が
1978年生まれ、甲子園出身。兵庫県西宮市出身と言っても誰もわかってくれないので甲子園出身と言うことにしているけど、甲子園は大阪府だと思われがちなのが悩み。 好きなバレーボールはモルテン。好きな音楽家はKAN。 前の記事:「白えび」以外もうまい! ビーバーシリーズ食べ比べ 黒字、出ちゃったんですよ 岡田 独立してから半年以上経ちました。デイリーポータルといえば赤字運営でしたが(※20年以上の歴史で黒字は1回きりだった)、独立採算になってしまって……。お金、大丈夫ですか? 林 実は……出ちゃったんですよ、黒字。 黒字、出ちゃった 「出ちゃった」って、会社としてはふつうのことのはずなんですが……。デイリーポータルが利益を優先して、おれなんかが金持ちになってもしょうがないから、多少苦しいぐらいの方が面白いかなって思ってたんです。 黒字だって言ったら、これまで運営を助けてくれていた「デイリーポータ
海外旅行とピクニック、あとビールが好き。なで肩が過ぎるので、サラリーマンのくせに側頭部と肩で受話器をホールドするやつができない。 前の記事:ウズベキスタンでは鍋がデカすぎて観光地になる > 個人サイト つるんとしている そろそろタダ飯のつけを払いたい イスラム教の文化圏には「神学校」と呼ばれる宗教施設がある。名前の通り宗教教育を専門とする学校で、イスラム法学やアラビア語などを学ぶ。特に大きな学校では寄宿舎も備え、学生たちが寝食を共にしながら聖職者になるための修練を積むことができる。 モスクに併設されていることも多い。なおキリスト教・ユダヤ教でも、同様の宗教教育をおこなう機関がある 中央アジアの国 ウズベキスタンにも街ごとに大きな神学校があるのだけど、縁あってそのうちの一つにはたいへん大きな借りがある。なんかめちゃくちゃタダ飯を食わしてもらっているのだ。 羊と野菜の炊き込みご飯 どうしてそん
太巻と細巻を1本で味わえないかと考えていたときに、ふとマッキーが目に入った。 太字と細字を1本で兼ねているマッキー。……これだ!! マッキー寿司を作ろう!! 理想の巻き寿司 太巻と細巻を1本で味わいたい。細巻を食べていたら、いつの間にか太巻きになっているような、グラデーションの構造に出来ないだろうか。1本で二度楽しめる巻き寿司を食べてみたいのだ。 そんな願望を叶えてくれるのは、マッキーの形状しかない。マッキーって巻き寿司が語源なのではないかと思うほど、私の理想の巻き寿司である。 調べたら、マッキーの由来は「Mark(マーク)」を親しみやすい愛称のように考えられた造語とのこと。全然違った。 でも私の理想であることには変わりない。マッキーの巻き寿司を作ろう! 出来たのがこちら。 マッキー寿司!! 両端は太巻と細巻になっている! 太、細の矢印があるので分かりやすい。洗練されたデザインである。求め
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー) 前の記事:崎陽軒のチャーハンとの戦い~チャーハン部活動報告 丸亀市には丸亀製麺はない 丸亀市にやってきた。よく行くのが丸亀製麺なので、丸亀市に行けばおいしいうどんが食べられるのでないか?と思ったのだ。 香川県丸亀市にやってきた。 本音を言えば、どこのうどん屋に行こうかリサーチしたのが、うどん屋がありすぎて「現地で聞くか」と思った。 観光案内所で聞いてみる。 ---すみません、丸亀市に丸亀製麵ってあるんですかね 「丸亀市と丸亀製麵さんは関係がなくて、1軒もないんですよ」 ---え、関係ないんですか? 「はい、関係なくて。よく勘違いされている方も多くて。丸亀製麵さんは兵庫県の会社ですね」 ---あ、そうなんですね。 「でも、
1988年静岡生まれ・静岡在住。平日は制作会社勤務、休日は大体浜名湖にいる。 ダイエット目的でマラソンに挑戦するが、練習後温泉に入り、美味しいものをたらふく食べるというサイクルを繰り返しているため、半年で10kg近く太る。 前の記事:コツをつかめば素人でも素手で石を割れる 回転式魚干し機にしか見えない 家を建てた時、前からずっと憧れだったシーリングファンをリビングの天井に付けた。 まるで南国のリゾートホテルにいるかのような優雅な見た目、そして夏も冬も部屋中の空気を快適に循環させてくれる優れた機能性、これまで買った家具の中でも一二を争う素晴らしい買い物をしたと思っている。 我が家のシーリングファン。奮発してちょっといいやつを付けた その気持ちは今でも変わらないが、日が経つにつれて別の感情が芽生えてきた。 回転式魚干し機として活用したい。 気づいてしまったその日から、魚を干さずにはいられなくな
米沢の食堂系ラーメンを色々教えてくれたイザワさんにその魅力を教わる 旅を終え、住まいに戻ってきた私だったが、心を米沢に置いてきてしまったかのようにあのちぢれ麵のことばかり考えてしまっていた。うまかったな、米沢の食堂系ラーメン……。 思い出してぼーっとしながら、「そうだ、イザワさんに改めて米沢の食堂系ラーメンについて聞こう」と思い、オンラインでインタビューをさせてもらうことにした。 米沢のラーメンが好きだというイザワさん ちなみに、イザワさんは専門家ではなく、山形で暮らし、山形のラーメンとその他の食べ物とお酒とを愛するいちファンである。個人的見解ということを前提に聞いていただければ幸いである。 ――米沢の食堂のラーメン、どこも美味しかったです。おすすめしてもらったけど行けなかったお店もたくさんあって、悔しいところもあるのですが。 まあ、おすすめした「かわにし食堂」とか、市街地から少し離れてる
お弁当で食べるチキンナンバン チキンナンバンで有名なお店は鳥心だけではない。くいしんぼ如月(きさらぎ)も有名である。高知県内に15店舗あり、高知の人たちに愛されるお弁当屋だ。 おれたち、くいしんぼうの夢が詰まったお店。 実はライターのこーだいさんが以前、「高知のご当地お弁当チェーン、くいしんぼ如月はご当地感のなさが魅力」の記事で行っていたのだが「いいな!ずるい!!」と思ったので行くことにした。おいしい食べ物って食べたいから。 外の看板にいたキャラ「KUISHIN BOY」と書いてある。お腹が冷えるからズボンにシャツしまいな。 中に入ると思っていたお弁当屋とは違い、雑誌なども置いてある。オリジン弁当やほっかほっか亭よりもコンビニに近い。 コンビニのようであるが、日用品やファミポートがないのでお弁当屋。 コロナ前はイートインスペースがあったようなのだが今は閉鎖されている。 そしてメニュー。くい
1971年東京生まれ。イラストレーター。ドクロ服、ドクロ雑貨集めに情熱を燃やしすぎている。ほかにはワニ、ウツボ、ハダカデバネズミなど毛の生えていない動物も好む。著書に「しろねこくん」、「ココロミくん」、「ひとみしり道」、「ばかスイーツ」などがある。(動画インタビュー) 前の記事:個展のおしらせ&バブルの前髪の作りかた
海外旅行とピクニック、あとビールが好き。なで肩が過ぎるので、サラリーマンのくせに側頭部と肩で受話器をホールドするやつができない。 前の記事:オランダの運河には小舟のお家がたくさん浮かんでいる > 個人サイト つるんとしている 強い気持ちで台所に立て その料理は、Chili Cheese Etouffe(チリ・チーズ・エトフェ)と名付けられている。チーズはわかる。チリもなんとなくわかる。エトフェは、ちょっとよくわかりませんね。 エトフェは、アメリカ南部料理=ケイジャン料理の代表メニューのひとつ。どろりと粘り気のある褐色のソースを、お米と一緒にいただきます このメニューはとあるレストランの看板商品でありながら、どういうわけか堂々とレシピが公開されている。公式のものかは不明だが、使う食材の指定や分量がやたらと細かいので、部外者が勝手な推量で書いたようなレシピではないのだろう。 26種類もの材料が
大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー) 前の記事:パチンコ店に併設されている食堂のラーメンばかりを食べ歩く 神社でピザ窯に出会うなんて思わなかった 「彌榮神社」は大阪市生野区桃谷にある。JR鶴橋駅、あるいはJR桃谷駅からそれぞれ徒歩10分ほどの距離だ。 ある晴れた日に鶴橋あたりを、「どこにたどり着いてもいい」ぐらいの気持ちで歩き回っていたらたどり着いたのだった。 大阪市生野区にある「彌榮(やえい)神社」 “文禄年間(1592年~1595年)に旧國幣大社熊野神社より御分霊を移して御祭りしました。”という由緒があって大変歴史ある神社だが、境内にはちょっとのどかな雰囲気が漂っていて、手作りらしいこんなアマビエ像があったりする。 風の強い日だ
清朝末期に、絶大な権力をふるった西太后。彼女は、はちゃめちゃにゴージャスな生活をし、食事の際には料理が100品以上並んだといいます。 これに近い贅沢、それは「餃子の王将」のジャストサイズメニューを全品頼むということではないでしょうか。 西太后のド級の食卓 中国の動画サイト・bilibili動画をよく閲覧していた時期、気づけば中国の子供が作った、絶妙に雑な編集の開封動画ばかり見まくっていました。「これじゃ身になることがなさすぎる」と、意識して中国史の動画を流すように。 何となく「西太后」の動画を見たところ、 写真はWikipedia「西太后」より引用 「西太后は毎食料理を100品以上用意させ、好きなものだけ食べていた」と紹介されていました。 度肝抜かれました。というか、フィクションじみていて「誇張されてるよな・・・?」と疑ってしまいました。 その後調べると、30〜40品、または100品以上と
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