国立世宗図書館開館と韓国の政策情報サービス 2014年7月8日から15日にかけて韓国国立中央図書館(NLK)から代表団4名が来日し,国立国会図書館(NDL)にて第17回日韓業務交流が行われた。この業務交流は,NDLとNLKが1997年から毎年交互に代表団を派遣し,実施してきたものである。今回の業務交流では,韓国国立世宗図書館政策資料課長の崔有珍(チェ・ユジン)氏から,国の行政機関の移転に伴いNLKが進めている政策情報サービス再構築の取組について報告がなされた。主に,政策情報サービスの新たな拠点として開館した国立世宗図書館(以下,世宗図書館)の概要と,そのサービス及び課題について説明が行われた。本稿では,この報告に基づき,NLKの政策情報サービスの最新動向を紹介する。 韓国政府は,2000年代半ばから,国の行政機関を順次,世宗特別自治市へ移転させ,「行政中心複合都市」の形成を行ってきた。これ
電子書籍を長期保存するために:論点整理 米国をはじめとして,公共図書館,また大学図書館においても,電子書籍の提供が広がりを見せている(E1233,E1465参照)。図書館における電子書籍の提供については,多くの事例を踏まえて論点が整理されてきている(CA1816,E1293参照)。このうち,特に電子書籍への長期的なアクセスを確保するという視点から,電子書籍の長期保存の課題について論点を整理したレポート“Preserving eBooks”が2014年7月3日,電子情報保存連合(Digital Preservation Coalition)によって公開された。レポートでは,論点を次の7つに整理し,電子書籍のフォーマットやメタデータ,識別子の技術的な動向,事例をまとめた上で,出版者および図書館等の保存機関のそれぞれに対して提言を行っている。ここでは,整理された論点を中心に紹介する。 (1)電子
少年院法改正の経緯と条文における「読書」への言及について 第186回通常国会において,少年院と少年鑑別所の根拠法である少年院法の改正法案が2014年6月4日に参議院本会議で可決され,6月11日に公布された。今回の改正は,同法が1948年に制定されて以来,初めての抜本的改正であり,読書等に関する条文も新たに追加されている。本稿では,改正の経緯や改正内容等について,読書等に関する部分を中心に紹介する。 1. 経緯 今回の改正は,2009年に広島少年院で発生した職員による在院者への暴行事件が契機となっている。この事件を受けて,外部の専門家等による視点で改善策を検討する「少年矯正を考える有識者会議」(法務大臣の私的諮問機関)が設置され,2010年12月に「少年矯正を考える有識者会議提言」が公表された。この提言では,少年院法の全面改正とともに,「書籍の閲覧について国費で在院者にふさわしい本を十分に備
大震災と小松左京が遺したもの 2014年6月21日,宮城県図書館でトークイベント『小松左京が遺したもの-震災の記憶・未来へのことば-』が開催され,100名を超える参加があった。宮城県図書館は震災11ヶ月後には,東日本大震災文庫の原点となった震災の記録等を紹介する特別展を行った。以降,震災支援や復興の道のり,震災記録の伝承に関する特別展を断続的に続けている。本イベントは,阪神淡路大震災の取材を通して震災記録に関する提言を行ったSF作家,小松左京氏の軌跡を紹介した東日本大震災文庫展IVの関連企画として行われたものである。作家の瀬名秀明氏,東北大学教授で作家の圓山翠陵氏,小松氏の元マネージャーの乙部順子氏が,震災の経験を防災・減災に役立てるためのアーカイブのあり方について,小松氏の取組みを交えて語った。 冒頭に乙部氏から,小松氏は小説家デビューする前に漫画家としての活躍があったことが触れられ,最
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2014/8/4現在) 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1555ほか参照)に続き,2014年4月中旬から8月上旬にかけての主な情報をまとめた。 ●デジタルアーカイブに関する動き 5月9日,赤十字原子力災害情報センターのデジタルアーカイブで,「東日本大震災復興支援レポート」のパート1が公開された。日本赤十字社が東日本大震災発生以来実施してきた復興支援事業について,分野ごと(生活再建,福祉サービス,教育支援,医療支援・災害対応能力強化)にまとめたものである。 http://ndrc.jrc.or.jp/special/2369/ http://ndrc.jrc.or.jp/galleries/reconstruction/ 6月13日,東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)とハーバード大学ライシャワー日本研究所(RIJS
Altmetricsに関するNISOプロジェクト第1期のまとめ 2014年6月9日,米国情報標準化機構(NISO)は,Altmetricsに関する研究開発プロジェクト“NISO Alternative Assessment Metrics Project”(代替的な評価指標プロジェクト:AAMP)の第1期の成果をまとめたホワイトペーパー(ドラフト版)を公開した。 Altmetricsとは研究成果の影響度を,従来の被引用数に基づく指標とは異なる手法で測ろうという試みである。AAMPは,このAltmetricsに関する標準・推奨実践を定めることを目的に,スローン財団の助成を受け開始された。その第1期として,研究者,図書館員,大学経営層,研究助成機関,出版関係者ら30~50名程度を集めた会合を3回開催し,また30回にわたる個別のインタビューも実施し,ステークホルダーの意見を集約した。それらの25
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