【田房永子さん】作品はフィクションですが、2人の子育て中である自分の体験がベースにあります。もともと私は「結婚したら、女は仕事をセーブして夫の世話をするものだ。なるべく夫に家事・育児をさせてはいけない」と思い込んでいました。その代わり、100%養ってもらわないと損、みたいな感覚もあったんです。 1人目を出産した頃は、「夫に家事育児を半分やってもらって、自分の仕事時間を確保すること」にすごく罪悪感を感じていました。それ以上に、生活費を負担するという行為が怖かったです。 いま思えば、私には「養ってもらうことは女の特権」という思い込みがあったと思います。それを手放したら、夫だけ得して自分は損するんじゃないか、という恐怖を感じていたんです。