政府は東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を24日に始める。政治日程などをにらんで放出日を調整してきた政府は、風評被害を懸念する漁業者の理解を得られないまま踏み切る。処理水の元となる汚染水は今も原発敷地内で増えており、政府・東電は数十年間にわたってモニタリングや風評対策といった重い課題に取り組むことになった。
政府は東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を24日に始める。政治日程などをにらんで放出日を調整してきた政府は、風評被害を懸念する漁業者の理解を得られないまま踏み切る。処理水の元となる汚染水は今も原発敷地内で増えており、政府・東電は数十年間にわたってモニタリングや風評対策といった重い課題に取り組むことになった。
政府は、東京電力福島第1原発にたまり続ける処理水を24日に海洋放出することを決めた。だが地元漁業者らの反対は強く「関係者の理解」は得られないままだ。青山学院大の岸田一隆(いったか)教授は、科学と社会をつなぐ「科学コミュニケーション」の問題を指摘する。【聞き手・高橋由衣】 処理水の海洋放出を巡る問題は、どう解決すればいいのか。有識者に聞いた。 上=処理水放出、科学的根拠だけでいいのか 二極化する原子力の賛否 青山学院大・岸田一隆教授 中=処理水放出の反対理由は風評被害だけではない 苦しい立場の漁業者北海学園大・浜田武士教授 下=復興は福島だけの問題なのか 処理水放出めぐる政府の姿勢に疑問 千葉悦子・福島大名誉教授 福島第1原発の廃炉に伴って出る汚染水を、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理すると、ほとんどの放射性物質は国の基準値未満まで取り除ける。しかし、唯一残ってしまうのがトリチウ
なぜ、防衛費を上げるのか。 日本はアメリカのことをどう思っているのか。 小学6年生には、分からなかった。だから、岸田文雄首相に手紙を書いた。【宮城裕也】 岸田首相に伝えたい 東京都世田谷区の私立和光小6年の36人が今年初めに書いた手紙は、こう始まる。 <私たちは、社会科や総合学習で、沖縄のことや戦争のことを学んできました。戦争は遠い昔の話だと思ったのに、今も苦しんでいる人がいることや、今にも続く問題であることがわかりました> <戦争は怖いし、絶対にやってはいけないと思っていたのに、ニュースで防衛費をあげようとしていることを知りました。そこで岸田首相に『ぜひ聞いてみたい、伝えたい』という声があがって、クラスのみんなで手紙を書きました>
東京拘置所が公開した死刑囚の生活空間。両側に居室が並ぶ廊下=東京都葛飾区の東京拘置所で2012年10月4日、須賀川理撮影 義務を果たさないものに権利はない――。 もっともらしく見えますが、本当なのか。人権は国が与えるものなのか。哲学者で早稲田大学教授の森岡正博さんと考えました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――人権は恩恵なのでしょうか。 森岡氏 私の授業を受ける前ですが、学生が「権利は義務を果たして初めて与えられる。義務を果たさない人に権利はない」と言うことがあります。 多数というわけではありませんが、毎年のようにいます。 雑な言い方です。もっと厳密に、物事を分けて、考える必要があります。 生存権から考えよう ――どのように考えればいいですか。 ◆基本的人権は、社会でみなが幸せに生きていくための考え方です。そのうえで、基本的人権のなかでも生存権とそのほかの権利を分けて考えたいと思います。
薬の用量、自動車のシートベルト、毎日歩くあの道路――。当たり前に生活にあふれるモノやサービスの多くが、実は男性目線に偏った研究や開発、設計を基にしていたことが分かってきた。「性差」が見過ごされてきたことで、人の生命に危険が及ぶ例もある。こうした現状を変えようと、世界はいま、性差を考慮した研究開発を進める「ジェンダード・イノベーション(GI)」を加速させている。 「椅子を(ペダルに)足が届きやすいところまで動かせるのがすごくいい」。女性農業者の声を生かして開発された井関農機(松山市)のトラクター「しろプチ」を使う女性からはこんな声があがる。同社は「農業女子」を応援するプロジェクトを立ち上げ、これまで男性目線で開発してきた農機を女性向けに改良する試みを進めている。 女性の声を基にしたのは、体格に合わせて座る位置を調節できるスライド機能付きシートや日焼け防止のサンバイザーなど。営業推進部の担当者
夏を迎え、欧州各地のプールがにぎわいを見せている。ドイツでは、2022年に初めて中部ゲッティンゲンの公営プールが女性も「トップレス」で泳ぐことを容認したのを皮切りに、今年6月末までに首都ベルリンや南部ミュンヘンなど少なくとも10自治体で女性のトップレスが認められた。「トップレス先進国」になった背景と、そうした文化が世に問いかけるものを、2回に分けて報告する。 後編 「トップレス先進国」の背景 ドイツ独裁政権下で興隆のヌード文化 では、ドイツに根付いた文化からトップレスの歴史をひもときます。 「ダメよ、止まって!」。22年12月、ベルリン市営の屋内プール。市内に住む元ライフガードの女性、ロッテ・ミースさん(34)が水泳パンツだけを着て水に入ろうとすると、このプールのライフガードの女性が手を振って叫んだ。そして、上半身を隠すよう注意した。 「トップレスで泳いでいいかプール側に事前に確認して、了
有害図書規制は正当な流通をも閉ざし、収入を断つ制度だと指摘する漫画家・森川ジョージ氏。では、規制があることで作家が表現をためらうことはあるのだろうか。表現の萎縮は何をもたらすのか。規制が作品に与える影響について聞いた。 森川さんへのインタビューは全3回です。「有害図書」規制のあり方を有識者に聞く連載は、以下のラインアップです。 ▽漫画のエロ・グロ表現で犯罪が起こる? 「はじめの一歩」作者の憂い ▽“寸止め”パンチでボクシング描けない 有害図書規制と表現の萎縮 ▽「表現の自由のため」じゃない 漫画家が有害図書規制と闘うワケ ▽科学的根拠ない「萌え広告」規制はダメ 議員になった漫画家の警鐘 ▽性表現は「理性的な基準で吟味を」 憲法学者がみた有害図書規制 ▽形骸化する「不健全図書」の審議会 “中の人”がみた不公平な仕組み ▽性表現はなぜ、子どもに見せてはいけないとされるのか 専門家に聞く ▽“朝
中学校の理科の授業で行われる硫化水素を発生させる実験で、複数の生徒が気分不良を訴えて救急搬送される事案が全国で相次いでいる。文部科学省は事態を重く見て、すべての都道府県教育委員会に対し十分な換気など安全に配慮するよう改めて注意を呼びかけるが、搬送事案が多発する背景に何があるのか? 「生徒が理科の実験後に気分不良を訴えている」。福岡県筑前町の町立中で今月8日、硫化鉄に塩酸を加えて硫化水素を発生させる実験をしていた2年生のクラスで、複数の生徒が寒気や頭痛の症状を訴え、学校が119番した。クラスの半数近い16人が病院に運ばれ、いずれも軽症だった。 毎日新聞の取材では、硫化水素を発生させる実験で生徒が搬送される事例は、5~6月に少なくとも秋田▽茨城▽愛知▽福岡▽埼玉――の5県で7件が確認され計71人が搬送された。搬送事案が相次いだことを受け、文科省は13日、すべての都道府県教委が集まる会議の中で、
人口学が専門の鎌田健司・明治大専任講師=東京都千代田区の明治大駿河台キャンパスで2023年5月31日、横田愛撮影 「少子化トレンドの反転」。岸田文雄政権の少子化対策「こども未来戦略方針」の中で、繰り返し登場する目標だ。その実現に向け、来年度から3年間の「加速化プラン」で3兆円超と見込む事業費のうち、1兆円超を充てるのが児童手当など経済的支援の強化策。だが、ある人口学者は出生率の改善につながるかは「懐疑的だ」と語る。背景には日本の少子化の原因と、対処策の「ずれ」があると言うが、どういうことなのか。【横田愛】 今年2月、国会内で開かれた自民党議員の会合に緊張感が漂った。講師として招かれていたのは国立社会保障・人口問題研究所の鎌田健司氏(現・明治大専任講師)。人口学が専門で、国内外の研究成果に基づき経済的支援は「出生率改善の効果が見えづらい」と説明したところ、児童手当の大幅拡充を持論とする議員ら
埼玉県営の公園2カ所で開催予定だった「水着撮影会」が中止になったことを巡り、ネット交流サービス(SNS)上で論争が起きている。過去の撮影会で、過激なポーズでの撮影が確認されたことなどが中止の理由だが、そもそも公共施設でこうした撮影会を開くことは妥当なのか。ジェンダー問題に詳しい太田啓子弁護士に聞いた。【金志尚】
弱者の武器であったキャンセルカルチャーが、リベラルな価値の攻撃に使われています。 困難を抱える若い女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」への攻撃など、女性への個人攻撃も起きています。 本来の意味を取り戻すにはどうすればいいか。高千穂大学教授の五野井郁夫さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――もともとの意味はなんでしょうか。 五野井氏 力なき人々にとっての最後の手段としてボイコット運動があります。インド独立運動の英国商品不買や、米国公民権運動ではローザ・パークスの「バス・ボイコット」(※)がありました。 情報発信の主体がユーチューバーのようなインターネット上のサービスに移るなかで、抗議の対象も国家や企業だけではなく、情報を発信する個人や現象、価値観へと変化しつつあります。 キャンセルカルチャーそれ自体は伝統的なボイコット運動の延長線上にあります。 ――ネットの発達
2022年8月に発売された松山市とのコラボパッケージのカール。道後温泉や松山城がデザインされている=松山市提供 「♪それにつけてもおやつはカール」のCMソングでおなじみの人気スナック菓子「カール」。全国で唯一カールの製造工場がある松山市が今春、ふるさと納税の返礼品に加えたところ、申し込みが殺到している。「カールい気持ち」で試した取り組みが思わぬ結果を生み、市の担当者は「カール効果」に期待を膨らませる。 市が返礼品にカールを取り入れた目的の一つは、市民にさえ全国で唯一の工場があることを知られていない低い認知度を向上させたかったから。現在は関西より西の地域でしか購入できないこともあり、東日本から申し込みが相次いだ。 販売メーカーの明治によると、カールは日本初のスナック菓子として、1968年に発売。サクサクとした軽い食感などから人気に火が付き、最盛期(90年代)は年間約190億円を売り上げた。だ
「表現の不自由展・その後」の展示中止と現代社会、アートを巡る現状について話した浅田彰さん=京都市左京区のアートスペース「浄土複合」で2019年9月6日、森田真潮撮影 米誌タイムが上目遣いの岸田文雄首相の写真を表紙に掲載し、こう紹介した。<岸田首相が長年の平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる>。現実はどうだろうか。 岸田政権は昨年12月、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力(敵基地攻撃能力)」を明記した国家安全保障戦略など3文書を閣議決定。今後5年間で総額43兆円程度の防衛費を投じる方針を決めた。世界の軍事費と比較すると、ロシアやインドを抜き、米国、中国に次ぐ世界3位になる見込みだ。 1980年代に主著「構造と力」や「逃走論」でニューアカデミズムの旗手とされた批評家で京都芸術大教授(思想史)の浅田彰さん(66)は、岸田首相が推し進める軍備増強路線を「静かな危
被爆地の広島市で19日開幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)を巡っては、出席する米国のバイデン大統領がもう一つの被爆地・長崎を訪れる案が一時検討されるも見送られた。原爆投下国の米国を含め核兵器を保有する3カ国の首脳が集まりながら長崎訪問の機会はなく、長崎の被爆者団体のリーダーたちからは落胆の声が上がった。 被爆者団体「長崎原爆被災者協議会」の田中重光会長(82)は、長崎市の自宅のテレビで、G7首脳たちが広島市の原爆慰霊碑に献花する様子を見て「G7首脳がそろって献花したのは意義がある」と話した。首脳たちは原爆資料館も視察。田中さんは「具体的に核軍縮につながる内容を共同宣言に盛り込んでほしい」と語った。
いわゆる「ネット右翼」と言われる人たちはどのような層なのか。 保守論壇で活躍し、ネット保守に詳しい作家・評論家の古谷経衡氏に聞いた。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ――「ネット右翼」の主流はシニア層だと指摘されています。 古谷氏 排外主義者を「右翼」と呼んでいいのかという問題はあるが、「ネット右翼」が問題化しはじめたのは2002年のサッカーワールドカップ日韓大会のころからだ。 当時は「平日の昼間から四六時中ネットに書き込みをしているのだから、仕事のない若い低所得者層が社会への不満でやっているのだろう」というイメージがあった。 しかし11年に私が1020人を対象にアンケート調査をしたところ(※「ネット右翼の逆襲」総和社、13年)思ったよりずっとシニア層に偏っていた。女性より男性が多い。学歴も大卒以上が多く、収入も貧困層とは言えず、中産階級の上位、いわゆるアッパーミドルに属していた。 ネット右翼が
谷公一国家公安委員長が、岸田文雄首相の選挙応援演説会場に爆発物が投げ込まれた事件直後に警察庁から連絡を受けた後も「うな丼をしっかり食べた」とあいさつしたことに対し、SNS(ネット交流サービス)などでトップの資質を疑問視する声が相次いだ。【デジタル報道グループ】 共同通信によると、谷氏は事件があった4月15日、公務で高知県を訪問。25日に開かれた自民党議員のパーティーで「おいしいうな丼を食べられると楽しみにしていた。これから食べようという時に警察庁から電話があった」と語ったという。 国家公安委員長は警察庁を管理する組織のトップ。インターネット上では「よくこんなこと言えるもんだ。こんな人が警察のトップにいるから、部下の規律が緩むのだろう」「食べるのは自由だが、言ってしまうのはトップとしての意識が低い」などとトップの姿勢を問題視する声が見られた。
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