古くから言い伝えられる妖怪に座敷わらしがいる。子供の姿をした妖怪で、家の中でがさがさと音を立てたり、他愛のないいたずらをし、座敷わらしが棲み付いた家は豊かに栄えるといわれる。 柳田國男の「遠野物語」には二つ、座敷わらしのエピソードがある。 遠野の土淵村大字飯豊のに住む今淵勘十郎の家には十二~三歳の男の子の座敷わらしが棲みつき、廊下ですれ違ったという。また、同じ村の佐々木某の家では主人の留守の間主人の部屋で紙をがさがさする音が聞こえて家人が部屋に入ってみるがだれもいなかった、というエピソードで、座敷わらしという神が住む家は”富貴自在なり”という。(遠野物語一七) 古くから女の子の座敷わらしが二人棲みつき、とても栄えていた山口孫左衛門という学者がいた。ある日村人が村の橋の辺りで見慣れない女の子二人とすれ違う。「お前たちはどこから来たんだい?」と村人が尋ねると、「おら山口の孫左衛門のところから来
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