1959年,カリフォルニアのスクリプス海洋研究所の地球化学者,ルベール(Roger Revelle)とスース(Hans Suess)は,「今後50年で,産業活動によって大量の二酸化炭素(CO2)が放出される結果生じるとみられる,気候への影響をよりはっきりと理解する」ために,大気と海洋中のCO2濃度を測定する必要があると指摘した。つまり,彼らは50年後の現在がいかにひどい状況になるのかを探ろうとしていたのだ。 彼らが観測の重要性を主張しなければならなかったこと自体が,今では不思議に思えるかもしれない。だが当時の科学者は,排気口や煙突から吐き出されるCO2が本当に大気に蓄積されるのかどうかはっきりとはわからなかったのだ。吐き出されたCO2のすべてを海が吸収してくれる,あるいは陸上の植物が取り込んでくれると信じる研究者もいた。 ルベールと,彼がプロジェクトのために採用した若い研究者キーリング(C