厚生労働省は5日、認知症による精神科病棟への入院患者の半数が退院まで6カ月以上かかっている現状を改善するため「20年度には患者の半数は2カ月以内に退院」との目標値を省内の有識者検討会に提案し、了承された。軽度患者については入院期間の短縮を図る考えで、退院後も自宅で医療や介護を受けられる態勢を整える方針だ。 アルツハイマー病などの認知症で精神科に入院する患者は08年に5万2000人。96年は2万8000人だったが、高齢化の進行で急増している。同省によると、地域支援の受け皿が少ないと在宅治療が可能でも退院できず、長期入院となる例が少なくない。このため老人保健施設の活用や訪問看護などを強化し、退院を促すとしている。