40年近く前に開発され,現在,多くの企業が信頼を寄せるUNIXは,ダウンサイジングやインターネットブームを契機として,メインフレームに代わるOSとして確固たる地位を築いてきた。 今日のUNIXのポジションを明らかにするためにも,まずは誕生から現在に至るまでの経緯を振り返ってみよう。 UNIXの誕生は1969年にまでさかのぼる。AT&Tのベル研究所で,Multicsという初期のOSを開発していたケン・トンプソンやデニス・リッチーらの手によって,当時のミニコンの1つであるDEC PDP-7上で産声を上げた。 その技術水準は,誕生当時から見て,きわめて進んだものであった。1964年頃から開発が進められていたMulticsの要素技術を流用しながら,階層型ファイルシステム,プロセス間通信,シェルとシステムコマンド群,マルチユーザー機能といった,現在のOSの基礎となる数々の技術を実装。その先進性は学会