2007年の年頭記者会見で、安倍首相は「美しい国に向かってたじろがずに一直線に進んでいく覚悟」と抱負を述べた。そのなかで内閣の最重要課題として教育改革を挙げ、問題の多い社会保険庁は解体し合理化して信頼される組織にすると強調した。 しかしわたしは、この会見を聞いて「これだから疲れてしまうのだよ」と非常に悲しい思いにとらわれたのである。そもそも安倍首相は「美しい国」と言いつつ、何が美しいかについて言及していない。景色が美しい国にしたいのか、人が美しい国にしたいのか、街が美しい国にしたいのか、美しいマスゲームがしたいのか、わたしにはさっぱり分からない。首相本人は何が美しいのか分かって言っているのだろうか。一度彼の頭の中をのぞいてみたい衝動に駆られる。 もう少し、細かく会見の中身を見てみよう。以下の図は、その会見の主な発言をまとめたものである。 驚くべきは冒頭発言である。安倍首相は「昨年