辻広雅文(ダイヤモンド社論説委員) 【第53回】 2008年11月26日 金融機能強化法の罪 ~政府と地銀はもたれあって堕落した 金融機能強化法案の復活、成立を政府が急いでいる。金融機関へ10兆円もの公的資金投入枠を確保し、中川昭一財務相は「資金繰りに窮している中小企業へ相当の効果がある」と自信を見せる。 4年半前の2004年6月、私は『地方金融機関の怠惰』と題するコラムを週刊ダイヤモンドに掲載した。その書き出しは、以下のようなものだった。 『金融機能強化法案の成立が、微妙になっている。廃案になれば、金融庁は秋の国会に再提出の構えだ。狙いは公的資金2兆円の投入、不良債権の処理が進まぬ地方金融機関を再編、統合することにある』――。 当時の2004年は、小泉政権が公約した不良債権集中処理の最終年度だった。この年、東京三菱銀行がUFJ銀行(ともに当時)を救済合併し、メガバンクの不良債権処