鮮やかな桃色の花びらが散る中、あでやかな和服の少女が舞う――。川端康成の名作「伊豆の踊子」のカバーに、漫画家の荒木飛呂彦さんの妖艶(ようえん)なイラストを集英社文庫が起用するなど、出版各社の夏の文庫フェアでは異色カバーが目立っている。角川文庫は文豪・森鴎外の名作の表紙に女性制作グループCLAMPのイラストを使い、かわいらしさで勝負する。名作を「ジャケ買い」してもらい、本を読まない若者にもアピールするのが狙いというが……。(川村律文) 名作の文庫の表紙といえば、かつては落ち着いた雰囲気のものが主流だったが、集英社文庫は昨年、太宰治の「人間失格」の表紙を抽象画から「DEATH NOTE(デスノート)」の漫画家・小畑健さんのイラストに変更し、計21万2000部を売るヒットとなった。今年は6月末から1年間の限定で、「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる荒木さんのほか、夏目漱石「こころ」と芥川龍之介「地