Back Index Next 私が今度こそ真面目に言い返そうとすると、彼はその隙をついた。 「不満そうだね。君と会ってからこの一ヶ月、僕は、今までになく自分が生きてるって感じたよ。苦しくて切なくて、でもこの時間が永遠に続けばいいって無理なことを本気で願うくらい心臓鳴らしてた。どうせ死ぬなら今がいいって、君といるときずっと、馬鹿みたいに思ったりした」 「ミズキさん……?」 彼は私を見つめ、君は思ってなかったって知ってるけどね、と小さく笑った。浅倉くんはゆるゆる頭をふっている。 「僕は姫香ちゃんに会って、自分がいつも誰かの身代わりをしてきたって思い知らされた。誰かの本当に愛したい人の代わりになれなくて、そういう自分自身をもてあましていたことに改めて気づいたよ」 彼はそこで、浅倉くんを見た。 「僕は、姫香ちゃんの代わりを上手に出来なかったよね」 浅倉くんはふたりの視線を同時に受けて、あろうこと