「自分の考えをそのまま作文に表現すればいい」。1940~41年、そう指導したとして小学校教員ら50人以上が治安維持法違反に問われ、三浦綾子の小説「銃口」のテーマになった思想弾圧事件「北海道綴方(つづりかた)教育連盟事件」。被害者の一人が捜査当局の厳しい取り調べの様子を記したメモが関係者の自宅で見つかり、札幌市の道立文学館で初公開されている。 メモを保管していたのは札幌市内に住んでいた故・坂本亮さん。釧路市で小学校教員をしていた時に事件に遭遇し、逮捕されたとされる。戦後は教育評論などを手がけ、2007年に99歳で亡くなった。 坂本さんの死後、遺族が道立文学館に「故人の蔵書類を寄贈したい」と申し出た。今回のメモは、児童文学研究者で元北星学園大教授の谷瑛子さんが、これら遺品を整理している中で見つけた。