遡ること10年前、2014年8月にロコモティフ・モスクワから契約を解除され、1050万ユーロもの損害賠償を請求された上に国際移籍証明書の発行が認められず、11カ月にわたって無所属が続いたラサナ・ディアラ。そこで移籍を妨げたFIFAのルールをめぐって訴訟を起こした結果、今年10月に一部がEU法に違反しているとの判決が欧州司法裁判所から下されたが、この「ディアラ判決」が国際サッカー界を震撼させていることをご存じだろうか?移籍金ビジネスが根本から揺らぐ衝撃と未来を、FIFPRO(国際プロサッカー選手会)アジア支部代表も務める山崎卓也弁護士が前後編に分けて解説する。 2024年10月4日にECJ(European Court of Justice/欧州司法裁判所)が下した、元フランス代表MFラサナ・ディアラ選手に関する判決(Case 0-650/22, FIFA v. Lassana Diarra