ブリテン諸島へ最初にキリスト教が伝播したのがいつごろかはよくわからない。中世以降に広まった伝承としては、西暦63年、キリストの遺体を引き取ったアリマタヤのヨセフがグラストンベリに教会堂を創始したことに始まるとする物語や、166年、ブリタニア王ルキウスの要請に応じたローマ教皇エレウテリウスが2名の宣教師を派遣したことを起源とする物語などがあるが、いずれも架空の物語にすぎない。 ローマ属州時代三世紀から四世紀頃にかけてのローマ属州時代にある程度広まっていたことは確かで、296年、西方ローマ副帝コンスタンティウス1世がブリタニアで皇帝を僭称していたアレクトゥスを破ったとき、ブリタニアは四つの司教区に分かれていたという。(原聖,183頁) コンスタンティヌス1世によるキリスト教公認直後の314年に開かれたアルル教会会議にはロンドン、ヨーク、ロチェスター各都市の司教が出席、325年の第1ニカイア公会