難航していた東京電力の決算がやっとのことで5月20日に公表される。共同通信の配信では、東京電力はこの決算で、廃炉費用等による1兆円の特別損失を計上し、当期純損失は8000億円前後になるという。東京電力の平成22年12月第三四半期末の連結株主資本は3兆175億円なので、この決算では2兆円の株主資本が連結貸借対照表に計上されることになる。同じく1兆8812億円あった連結利益剰余金も1兆円以上が残される。 東京電力の清水正孝社長は、5月10日に首相官邸を訪ねて政府の財政支援を要請したが、それだけ財政困難なはずの会社が、震災後の決算で1兆円を超える利益剰余金を計上できるというのは、どう考えてもおかしい。財政支援と1兆円の利益剰余金は、会計理論上両立できないのである。以下に論証する。 東京電力の平成23年3月期決算では、通常の事業損益計算とは別に、(1)資産減損、(2)原発廃炉、(3)損害賠償という
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