アブラナ畑を舞うモンシロチョウ。チョウ自身の目に映る仲間の姿はやはり白色なのだろうか。答えはノーだ。モンシロチョウには紫外線が見えるからだ。 本書『虫や鳥が見ている世界』(中公新書)は、動物や植物が紫外線の下でどう見えているのかを写真付きで紹介している。紫外線が見える世界、それはむき出しの適者生存の世界だ。 紫外線だけに反応するカメラで撮影 著者の浅間茂さんは千葉生態系研究所所長を務める。生物学者で高校の元生物教師。山形大理学部を卒業して企業に就職した後、生物学への関心が高じて教師に転じた経歴を持つ。 千葉県在住で付近の鳥や植物の保護を目的とするビオトープ(生物生息空間)の設置を推進中だ。 浅間さんが使用するのは紫外線だけに反応するカメラだ。一般的なカメラのレンズは紫外線を吸収する。このため、紫外線を通す蛍石や石英製のガラスで作ったレンズに紫外線だけを通すフィルターが使われた。とても高価だ