この非常に美しい昆虫の写真集『世界一うつくしい昆虫図鑑』の著者、クリストファー・マーレーは昆虫専門のカメラマンでもなければ昆虫学者でもなく、「昆虫アート作品」を制作するアーティストなのだ。そしてかつては「長年、節足動物を慎重に避けてきた」という大の虫ぎらいで、台北のアパートの階段にタランチュラが出たときは家に入れなくなったり、山道でカマキリを避けようとしてオートバイを大破させたりしている。 そんな彼が虫に魅かれはじめたきっかけはバンコクのナイトマーケットで売られていた甲虫の標本箱を見つけたとき。はじめは震え上がってその場を立ち去ろうとしたのだが「自分でも驚くような心の葛藤があった」「その小さなモンスターから目を離せなかった。体のほかの部分は逃げ出したがっていたというのに」という。そんな葛藤の結果、結局その標本を購入。それから虫に魅入られ標本にする昆虫を探しはじめるのだが、それも「おそるおそ