前日本銀行理事の宮野谷篤氏は、長期化する低金利環境下で一段の経営努力がなければ、今後赤字に陥る地域金融機関が増え、抜け出せなくなる時期が遠からず訪れると予想する。信用秩序維持政策担当の理事を5月に退任後、今月25日に初めてインタビューに応じた。 宮野谷氏は、地域金融機関の当期純利益は相応の水準にあるが、低金利で収益力が落ちる中、株式の益出し余力が減っており、ショックの有無にかかわらず「赤字の金融機関は今後増えてくる」と指摘。「自己資本比率は相応に高いが赤字というのが多分、それほど遠くない時期に常態化する」と語る。預金者がどう反応するか未知数で、金融システムは「新しいタイプのリスクの世界に入っていく」とみる。 金融庁の報告書によると、低金利環境の継続に加えて人口減少や高齢化の進展などもあり、地域金融機関の経営環境は年々厳しさを増している。2017年度決算では地域銀行106中54行は貸し出しや