ポルトガルのカバコシルバ大統領は3月31日、ソクラテス首相の辞任を正式に認めて議会を解散し、6月5日の総選挙実施を宣言した。国民に信を問うかたちで政治の安定回復を目指すが、それまでの政治空白が財政悪化を加速させ、金融危機再燃の引き金となる恐れもある。 大統領は31日の声明で「我々はまず経済危機、次いで政治危機、そして今、社会危機のただ中にある」と指摘し、政策の基盤である財政再建が選挙の最大の争点となると訴えた。 財政再建をめぐる主要政党の意見は割れている。ソクラテス前政権は社会保険の給付カットなど社会保障予算の削減を中心とする財政緊縮策を提案して野党に否決された。最大野党で中道右派の社会民主党は、政府案より大胆な歳出カットを、と主張するが、具体策はまだ明らかにしていない。共産党や左翼ブロックなど左派政党は「景気刺激策を優先すべきだ」として、財政の引き締めには反対の立場だ。 政府統計局