ベルナール・ビュフェ《キリストの受難:笞刑》1951年 ベルナール・ビュフェ美術館蔵 © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2020 G2212 新型コロナウイルスの猛威が止まらない――という言い方が決まり文句になっている。が、それは必然のことである。残念ながら、日本は諸外国よりもぬるい対策を、遅いタイミングでしか打っていないのだから、「猛威が止まらな」くて当たり前である。今後しばらくはまだこの状況が続くことになる。 こういうときは、強いて元気を出し、美しいものを愛で、悲惨な現実をひととき忘れようとする方略があるのは弁(わきま)えているが、私自身イマイチ晴れやかな気分というわけにはならないし、無理してそんな調子で書いても、どこか空々しい文章になってしまうだろうから、あまり飾らず、つくらずに書いてみたい。そのため、今回はちょっと重いトーンになるかもしれないが、ご