森林総研は土や雨の成分を分析し、「森のメタボ化」の実態を調査している=茨城県石岡市「森のメタボ化」のイメージ 大都市周辺の渓流に高い濃度の窒素が流入していることが、群馬高専や大阪工業大などの調査でわかった。排ガスに含まれる窒素酸化物が長年降り注いだ結果、窒素を栄養分として吸収している森が窒素飽和の状態になり、吸収しきれない窒素が川に流れ出ている可能性がある。この「森のメタボ化」による窒素流出は、森の衰退や湖などの水質悪化につながるおそれがあるとして、森林総合研究所(茨城県つくば市)も調査に乗り出した。 群馬高専の青井透教授(環境工学)らのグループが、首都圏の水源となる利根川の上流(群馬県安中市)で水質を計測したところ、窒素成分のひとつ、硝酸態窒素が1リットルあたり最大3.7ミリグラム、平均1.6ミリグラム検出された。湖沼などで定められている窒素の環境基準は同1ミリグラム以下。08年の1