埼玉県で高齢者の万引きが急増している。同県内で警察に摘発された65歳以上は昨年、1145人と過去最多で、全体の4人に1人が高齢者だった。 この5年でほぼ倍増、犯行も悪質化している。道徳心の低下が一因とみられ、学識経験者からは、社会参加の必要性を指摘する声も上がっている。 さいたま市内のスーパーで5月下旬、買い物をしていた女(70)は、缶詰3個を素早くバッグに押し込んだ。巡回中の女性保安員(67)が、店を出たところで声をかけると、女は保安員を突き飛ばした。保安員は手に擦り傷を負い、女は周りの人に取り押さえられ、警察に引き渡された。 保安員を派遣していた日警保安埼玉事業部(さいたま市)の土方秀明部長は、「万引きがばれた高齢者が開き直るのは、最近では珍しくない」と指摘する。土方部長によると、こうした悪質なケースが顕著に増えている。「いつも買っているのだから、たまにはいいでしょ」「太陽の光の下で、