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ブックマーク / book.asahi.com (108)

  • ユートピアを求めることの虚しさ――アンドレイ・プラトーノフ『チェヴェングール』|じんぶん堂

    記事:作品社 アンドレイ・プラトーノフ(1899-1951) 書籍情報はこちら 翻訳者が抱く素朴な願いとしては、『チェヴェングール』という作品をなるべく多くの人に読んでもらいたい。しかし、『チェヴェングール』は明らかに難解な作品である。そこで稿は、作中で重要な意味を持つと感じられたキーワードを解説し、読者の作品理解の一助としたい。取り上げるのは、「作為」と「自然」、そして「虚しさ」の三語である。 書のあらすじ 舞台は20世紀初頭のロシア。1917年のロシア革命を挟んで激変する社会の中で、革命の意味やより良い生を求めて試行錯誤する人びとが描かれる。 ロシアのある農村で工作物の修繕をしていた職人のザハール・パーヴロヴィチは、飢饉に見舞われた村を出て、町で鉄道修理工として働きはじめる。彼はそこで同郷の孤児アレクサンドル(サーシャ)を発見し、引き取ることにする。サーシャは、死への興味に取り憑か

    ユートピアを求めることの虚しさ――アンドレイ・プラトーノフ『チェヴェングール』|じんぶん堂
    okbc99
    okbc99 2023/04/24
  • 「はちどり 1994年、閉ざされることのない記憶の記録」映画公開から4年、キム・ボラ監督インタビュー|好書好日

    映画「はちどり」から (C)EPIPHANY FILMS. 1994年、ソウル。家族と集合団地で暮らす14歳のウニは、学校に馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごしていた。両親は小さな店を必死に切り盛りし、子供達の心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。 ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。ウニは、自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。ヨンジは、ウニにとって初めて自分の人生を気にかけてくれる大人だった。ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは、いつも姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だった。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く。 (C)EPIPHANY FILMS. 『はちどり』から、4年 ――『はちどり』が韓国で公開されてから4年が経

    「はちどり 1994年、閉ざされることのない記憶の記録」映画公開から4年、キム・ボラ監督インタビュー|好書好日
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    okbc99 2023/04/18
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら バッハの「マタイ受難曲」を聴くと、まさに「音楽に救われる」という感じがする ――東日大震災と原発事故はだれしもにとってたいへんショッキングなできごとだったと思います。坂さんはどうお過ごしでしたか。 坂龍一:うーん……、直後はやっぱり、音楽を聴く気になれませんでした。 ――音楽家の方でも、音楽が聴けなくなるんですか。 坂:ええ、(音楽家には)きっとそういう人は多いと思いますよ。それで、ずいぶんと経ってから……、ひと月ほど経ってからかな、やっと聴いてみようかなと思ったのは。 ――そのときに、慰めや励ましになったもの、あらためて立ちかえったものってありますか。 坂:それは、やっぱりどうしてもバッハの「マタイ受難曲」です。僕のまわりの音楽好きでも同じようにいう人は多いけれど、やっぱり特別な曲ですね。「また

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂
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    okbc99 2023/04/07
    “音楽の大きなテーマは、亡くなった者、存在しなくなった者を懐かしむとか、思い出すとか、悼むとかいうことなんです。だから「葬儀」というのは人類普遍の大きなテーマですよね。”
  • なぜサッカー部員は返事の前に「shhh」とつぶやくのか? 矢野利裕『学校するからだ』|じんぶん堂

    記事:晶文社 からだとことばが躍動する異色の〈学校×身体〉ノンフィクション。矢野利裕『学校するからだ』 書籍情報はこちら 「shhh」をしのばせているヤツがいる! 学校はどんな場所として記憶されているだろうか。 良い思い出が詰まっている人もいれば、思い出したくもないことばかりの人もいるかもしれない。学校という場所は、なんとなく大事なものだと思える一方で、多くの問題を抱えているような気もする。だからなのか、人が学校について語るときは、すごく甘美な思い出として語られるか過度に批判的な論調で語られるかのどちらかになることが多い。 僕は現在、そんな学校という場所で働いている。2015年度に私立の中高一貫校の国語科教員として採用。サッカー経験者ということで高校サッカー部・中学サッカー部の顧問になり、入職後、半年くらい経ったところで(いろいろあって)監督に就任した。 生徒として通っていた学校には良い思

    なぜサッカー部員は返事の前に「shhh」とつぶやくのか? 矢野利裕『学校するからだ』|じんぶん堂
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    okbc99 2023/03/30
  • 線を引いて、ランプを灯すように語る 岸田奈美が読む「こわれた腕環」|好書好日

    そのと運良く出会えたのは、正月が明けてすぐのことでした。 神戸の商店街にある古屋が、安売りの札を立てたワゴンを軒下まで出していました。商店街は初売りをつまみいしながら大丸百貨店へ抜ける人で賑わっていたけど、ワゴンの前には誰もいません。ふらっと覗いてみて、わかりました。100円の値がつけられているたちはどれも日焼けしていて、巻数もチグハグなんです。いったいどんなお客が、通りすがりで『ダ・ヴィンチ・コード』の中巻だけを買っていくと思うのか。 こりゃあかんわと呆れていたら、わたしはドキンとするを見つけました。 ル=グウィンの『こわれた腕環』でした。 ゲド戦記シリーズの第2作目で、家の棚にも並んでいるのに買ってしまいました。こんなに素晴らしい物語に貼り付けられた100円の値札が、悔しかったからです。 帰ってぬるめの風呂に浸かりながら、を開きました。 そして、びっくりしました。 文章に

    線を引いて、ランプを灯すように語る 岸田奈美が読む「こわれた腕環」|好書好日
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    okbc99 2023/03/28
  • 書物の船で、驚異の海へ 国書刊行会創業50周年によせて 朝宮運河|好書好日

    ユニークな出版活動で知られる国書刊行会が、創業50周年を迎えた。 現在、全国書店では記念フェアが開催されており、店頭で配布される小冊子『私が選ぶ国書刊行会の3冊』や、普段なかなか目にすることのできないレアな書籍を求めて、多くのファンが足を運んでいる。 わが国の出版界において、国書刊行会は特殊なポジションを占める出版社だ。幻想文学や海外文学を中心に、歴史・仏教などの学術書、美術・映画などの芸術書等の分野で、個性的なラインナップを展開。活字好きに愛される信頼のブランドとして、大手とはひと味違う存在感を放ってきた。 そんな国書刊行会の位置づけをよく表しているのが、近年ネットで生まれた“国書税”という造語だろう。国書税とは、読者が国書刊行会のに対して支払う代金のこと。またこんなマニアックなが出るのか、嬉しいけど今月も書籍代がかさむじゃないか、まるで税金を取られているようだ……、という悩ましい国

    書物の船で、驚異の海へ 国書刊行会創業50周年によせて 朝宮運河|好書好日
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    okbc99 2023/02/08
  • 平山夢明さん「俺が公園でペリカンにした話」インタビュー “どうしようもない話”の限界を目指して|好書好日

    平山夢明さん=撮影・有村蓮 平山夢明(ひらやま・ゆめあき)作家 1961年生まれ。フリーライターとして(デルモンテ平山名義)活動した後、94年にノンフィクション『異常快楽殺人』で作家デビュー。2006年「独白するユニバーサル横メルカトル」で日推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同名の短編集は07年版「このミステリーがすごい!」国内第1位に選ばれた。10年『ダイナー』で日冒険小説協会大賞と大藪春彦賞を受賞。著書に『ミサイルマン』『或るろくでなしの死』『デブを捨てに』『あむんぜん』『八月のくず』などがある。 ステレオタイプではない最低な奴ら ――『俺が公園でペリカンにした話』は危険な小説ですね。アブノーマルとしか言いようのない物語が20編も収録されていて、読んでいると頭がくらくらしてきます。 でしょ? まとめて読んだ編集者も「頭が痛くなってきた」って言ってたよ(笑)。おれがこのシリーズでやり

    平山夢明さん「俺が公園でペリカンにした話」インタビュー “どうしようもない話”の限界を目指して|好書好日
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    okbc99 2023/01/14
  • 書評家・杉江松恋が読む第168回直木賞候補作 迫真の満洲国群像劇が現代を照射する「地図と拳」の破格さ|好書好日

    候補の多くに社会批評的な視点 今回の直木賞は、小川哲『地図と拳』しかないのではないか。 言い方を変えよう。小川哲『地図と拳』に授賞しないと直木賞はどうしようもないのではないか。これを選ばない理由はないだろう。小説として破格だからである。 2022年10月に第13回の山田風太郎賞選考会が行われた。伝奇からミステリーまで、あらゆるジャンルの大衆小説を手がけた巨人の名を冠した賞である。『地図と拳』は当然の如く最終候補となり、すんなりと受賞した。選考委員全員が最高点、それも唯一の〇をつけるという満場一致の結果であったという。貴志祐介の選評タイトルを借りれば「実質五分の圧勝劇」である。次は直木賞の番だ。選考会場の築地・新喜楽に入る前に授賞を決めるくらいしないと、選考委員は山田風太郎賞との違いを示せないではないか。 というわけで受賞予想は鉄板で『地図と拳』、個人的に推すのも『地図と拳』だが、第168回

    書評家・杉江松恋が読む第168回直木賞候補作 迫真の満洲国群像劇が現代を照射する「地図と拳」の破格さ|好書好日
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    okbc99 2023/01/11
  • よしながふみさんの漫画「大奥」、ジェンダーを揺るがした大作がついに完結 |好書好日

    文:若林理央 江戸幕府、三代将軍・徳川家光の時代、男子のみを襲う謎の疫病が国中に流行り、 男子の数が激減した。家光も病に倒れ、秘密裡に将軍職は女子へと継がれていく。男子は種馬として大切に育てられ、江戸城大奥までもが、希少な男子を囲い、「美男三千人」と称される「男の世界」となっていった。将軍たちの時代はいよいよ幕末へ。 よしながふみ漫画家 東京都生まれ。1994年『月とサンダル』でデビュー。『西洋骨董洋菓子店』は第26回講談社漫画賞少女部門を受賞、TVドラマにもなった。 『大奥』で第5回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞、第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞など受賞。ほかの作品に、『フラワー・オブ・ライフ』『愛がなくても喰ってゆけます。』『愛すべき娘たち』『こどもの体温』など。2021年2月26日、『大奥』の最終巻である19巻が刊行される。同年は代表作の一つ『きのう何べた?』の映画も公開される予

    よしながふみさんの漫画「大奥」、ジェンダーを揺るがした大作がついに完結 |好書好日
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    okbc99 2022/08/23
    “2003年にドラマ「大奥」を見て、子どもの頃、夢中になっていた1983年の同名ドラマを思い出しました。83年の「大奥」は家光から慶喜の時代までを1年かけて放送していて、回ごとに時代が進みます。”
  • 村田沙耶香さん「信仰」インタビュー 小説を信仰し、実験し続ける|好書好日

    村田沙耶香さん 村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。2003年『授乳』で群像新人文学賞優秀作、09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞。ほか、『地球星人』『生命式』など英訳されたものも多く、世界で注目されている。 村田沙耶香、異星人説!? ――表題作「信仰」は、主人公の「私」が、同級生の石毛に「新しくカルト始めない?」と勧誘されるシーンから始まります。石毛はでたらめのカルトを誰かに信仰させ、金を巻き上げようとしていますが、原価1万円にも満たない“高級時計”を集めているし、「石毛に騙されるやついる?」と笑う同級生たちは、皿1枚50万もする器ブランドに夢中になっている。ここには宗教に限らない、さまざまな形の“信仰”が描かれていますね。 ちょうどその頃、「“現実”に勧誘すること」につ

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    okbc99 2022/07/04
  • 「僕の狂ったフェミ彼女」著者&訳者インタビュー フェミニズムは誰かを排除するためのものではない|好書好日

    就活を前に不安な僕を癒してくれた、愛らしい僕の彼女。毎日のようにベッタリで、付き合って1周年を迎えた。そんなとき僕は、1年間の海外インターンシップに行くことに。遠距離は不安だけど、彼女なら安心だ、待っていてくれるはず――。しかし、出国当日。空港にいたのは、涙ぐむ彼女を抱きしめる僕ではなく、別れのメールをもらってメンタルが崩壊した僕だった。 そんな初恋を引きずりながら 大企業に就職し3年目を迎えた「僕」ことスンジュン。周囲はほとんど結婚して、「まだ独身なの?」とからかわれることも多い。結婚する女性を選ぶだけなのに、なかなか結婚への意欲がわかない。そんなある日、初恋の彼女と出くわした! 心がまた動き出す……ところが、彼女はこともあろうにフェミニストになっていた!(イースト・プレス公式サイトより) ●『僕の狂ったフェミ彼女』試し読みはこちら 年を重ねるにつれて大きくなっていった違和感 ――韓国

    「僕の狂ったフェミ彼女」著者&訳者インタビュー フェミニズムは誰かを排除するためのものではない|好書好日
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    okbc99 2022/06/03
  • tofubeatsの知を拡張する愛読書 知らないより知ってたほうが、面白い確率が高い|好書好日

    tofubeatsさん tofubeats(とーふびーつ) 1990年生まれ神戸出身のラッパー/プロデューサー。中学時代から音楽活動を開始し、高校3年生で国内最大のテクノイベント「WIRE」に最年少で出演。代表曲は「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」「水星 feat. オノマトペ大臣」など多数。2022年には中村佳穂らが参加した4年ぶりのフルアルバム「REFLECTION」、初の著書『トーフビーツの難聴日記』を発表する。 目標とするECDと小西康陽 ――アルバム「REFLECTION」と同日に出版される『トーフビーツの難聴日記』のゲラを読ませていただきました。tofubeatsさんは2015年にご自身の会社・HIHATT(ハイハット)を立ち上げましたが、創作以外にも、サンプリングのクリアランスや楽曲の権利処理、契約書の内容を弁護士さんに相談したりといろんな実務を並行されているん

    tofubeatsの知を拡張する愛読書 知らないより知ってたほうが、面白い確率が高い|好書好日
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    okbc99 2022/05/21
    “うちの中学は「本を読むのはめっちゃ大事や」という学校で、中1で図書館の使い方、資料の扱い方をめっちゃ教えてくれるんです。おかげさまで、大学まで図書館を利用しまくってました。”
  • 『わたしが先生の「ロリータ」だったころ』書評 孤独につけ込む狡猾で周到な罠|好書好日

    わたしが先生の「ロリータ」だったころ 愛に見せかけた支配について 著者:アリソン・ウッド 出版社:左右社 ジャンル:ノンフィクション・ルポルタージュ 『わたしが先生の「ロリータ」だったころ』 [著]アリソン・ウッド 少女マンガの世界には、かわいいヒロインがかっこいい担任教師と恋に落ちる話が結構ある。それが読者の胸を大いにときめかせているわけだが、このノンフィクションを読めばいかに危険なファンタジーであるかがわかるだろう。 舞台はアメリカ。アリソンは高校最後の学年であるシニアとなったが、周囲と馴染(なじ)めず孤独を持て余している。しかし、そんな彼女に文才があると気づいた教員が、文学に造詣(ぞうけい)の深いノース先生を紹介してくれたことで、事態は一変。自分の才能を伸ばそうとしてくれる人が現れたのだ。しかもノース先生は、いつも女子生徒に取り囲まれているようなモテ男。アリソンも、彼と握手しただけで

    『わたしが先生の「ロリータ」だったころ』書評 孤独につけ込む狡猾で周到な罠|好書好日
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    okbc99 2022/04/24
  • 「ジャパニーズ・シティポップ100」ナイト・テンポさんインタビュー オシャレな昭和歌謡で世界の扉を開く|好書好日

    Night Tempo(ナイト・テンポ)プロデューサー兼DJ 1986年、韓国・ソウル生まれ。2015年ごろから1980~90年代の日の歌謡曲を現代風にアレンジし、インターネットで公開して話題に。2019年からプロデューサー兼DJとして、日アメリカ格的に活動を始め、2022年には2回目となるフジロックフェスティバルの出演が決定。 日の哀愁あるユーロビートが好き ――こので取り上げた曲は、まさに「隠れた名曲」が大多数ですね。郷ひろみ、西城秀樹、中森明菜と、誰もが知っているアーティストなのに、あまり知られていない曲が大多数です。 そうですよね。お金があった時代だから、みんなおしゃれな音楽をやってたけど、コンテンツも山ほどっていうか海ほど多かったので、目立ってない。僕がここで紹介してるのも、ほんの一部だと思います。 このリストアップは3年前にやったんですけど、もともと僕がそれまで紹

    「ジャパニーズ・シティポップ100」ナイト・テンポさんインタビュー オシャレな昭和歌謡で世界の扉を開く|好書好日
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    okbc99 2022/04/20
  • 荒木飛呂彦「ジョジョリオン」が完結 奇々怪々な描写・超越合戦、完全な異世界 |好書好日

    荒木飛呂彦の『ジョジョリオン』が完結しました。足かけ11年の連載で、全27巻。『ジョジョの奇妙な冒険』の第8部で、シリーズ中最大の長編になりました。前7部にも増して、類を絶するアクロバティックな画風で、複雑怪奇な冒険談をくり広げています。 舞台は、東日大震災後の仙台市内と思われる杜王町(もりおうちょう)。震災で地面に帯状の土地が隆起します。この土地には、『ジョジョ』シリーズで「スタンド」と呼ばれる、人間の超絶的な能力をひき出す秘密があるようなのです。 この土地のなかから、記憶を失ったひとりの青年が発見され、杜王町の名家でフルーツ専門店を営む東方(ひがしかた)家にひき取られ、東方定助(じょうすけ)と名づけられます。 『ジョジョリオン』の前半は、主にこの東方定助の正体が何かという謎をめぐって展開します。このミステリーに、さまざまなスタンド能力をもつ登場人物が次々に絡み、多彩な過去の因縁が暴か

    荒木飛呂彦「ジョジョリオン」が完結 奇々怪々な描写・超越合戦、完全な異世界 |好書好日
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    okbc99 2021/11/25
  • 小川公代さん「ケアの倫理とエンパワメント」インタビュー ケアで読み解く文学、そして女性の「檻からの解放」|好書好日

    小川公代(おがわ・きみよ) 1972年和歌山県生まれ。上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了。専門はロマン主義文学、および医学史。著書に『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』(共編著、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、訳書に『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著、幻戯書房)『肥満男子の身体表象』(共訳、サンダー・L・ギルマン著、法政大学出版局)など。 女性がケアを背負い込まないために ――ケアをテーマにした経緯を教えてください。 日ではケアというと、家事、育児、介護などの「ケア労働」のイメージが定着していると思います。でも、たとえば介護福祉士や看護師といった職業の方は、実際に実践する中でさまざまな葛藤を抱えながら、ケアについて多面的に考えていらっしゃると思います。いろいろな人がケアを考えたり、

    小川公代さん「ケアの倫理とエンパワメント」インタビュー ケアで読み解く文学、そして女性の「檻からの解放」|好書好日
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    okbc99 2021/10/20
  • 斎藤美奈子さん『挑発する少女小説』インタビュー 「良妻賢母」のメッセージを超えて、あえて誤読する楽しみ|好書好日

    斎藤美奈子さん 『挑発する少女小説』ができるまで ――斎藤さんの少女小説への関心は、「文學界」2001年6月号に発表された評論「少女小説の使用法」まで遡ります。その後、2016年から始まった「ハルメク」でのエッセイ連載を経て、『挑発する少女小説』が刊行されました。 友人が当時「ハルメク」の編集長で、連載を依頼された時、「文學界」ではできなかった翻訳少女小説の各論をやりたいと提案しました。そうしたら、彼女自身も少女小説が大好きだし、50代60代女性が多い「ハルメク」読者も絶対ついてくると、ものすごくノッてくれたんです。「ハルメク」の原稿は短く、各論とはいえあまり掘り下げることはできなかった。けれども、この連載が各作品についてたくさん考えるきっかけになったし、ここで取り上げた選書が『挑発する少女小説』のベースになっています。 その後、河出書房新社からお声がけいただき、そのままになっていた少女小

    斎藤美奈子さん『挑発する少女小説』インタビュー 「良妻賢母」のメッセージを超えて、あえて誤読する楽しみ|好書好日
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    okbc99 2021/08/31
  • 佐藤究さん「テスカトリポカ」インタビュー 暗黒の資本主義と血塗られた古代文明が交錯する、魔術的クライムノベル|好書好日

    佐藤究(さとう・きわむ)作家 1977年福岡県生まれ。2004年、佐藤憲胤名義の『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、作家デビュー。しばらく純文学作家として活動した後、16年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。佐藤究名義で再デビューを果たす。18年『Ank: a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞と、第39回吉川英治文学新人賞を受賞。『テスカトリポカ』は前作以来約3年半ぶりとなる待望の新作。 コーマック・マッカーシーを指針として ――『テスカトリポカ』はメキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人バルミロ・カサソラが、潜伏先のジャカルタで日人臓器ブローカーと知り合い、神奈川県川崎市で心臓売買のための組織を作りあげていく……という衝撃的内容のクライムノベルです。前作『Ank: a mirroring ape』から約3年半ぶりの長編となりますが、執筆の経緯

    佐藤究さん「テスカトリポカ」インタビュー 暗黒の資本主義と血塗られた古代文明が交錯する、魔術的クライムノベル|好書好日
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    okbc99 2021/06/11
    “KADOKAWAの編集者から「クリストファー・ノーランの『ダークナイト』みたいな小説を書きませんか」というオファーを受けたんです。善悪を超越した、存亡を賭けた戦いを描いてくれと。”
  • 映画「天気の子」、民俗学で読み解いてみると…… 民俗学者・畑中章宏さんに聞く|好書好日

    文:太田明日香 写真:坂下丈太郎 畑中章宏(はたなか・あきひろ)作家、民俗学者 1962年生まれ。著書に『災害と妖怪』 (亜紀書房)、『ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか』 (晶文社)、『柳田国男と今和次郎』 (平凡社新書)、『天災と日人』(ちくま新書)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)など多数。近著に『死者の民主主義』(トランスビュー)。 主人公・帆高はなぜ海から来たのか? 畑中さんがまず注目したのは主人公・帆高の名前だった。 「ほだか」と聞くと、長野県にある山「穂高岳」を思い浮かべる人が多いだろう。彼は海からやって来るのに、どうして山の名前を持っているのだろうか。畑中さんはもしかしたら神話の中に帆高のモデルがいるのでは、と仮説を立てる。 「監督の新海誠さんの故郷は信州で、そこに穂高神社という神社があります。穂高岳の神様で、そこに祀られているのは、『古事記』にも出てくる穂高見命(ホタ

    映画「天気の子」、民俗学で読み解いてみると…… 民俗学者・畑中章宏さんに聞く|好書好日
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    okbc99 2021/01/04
    “「実はこの掃晴娘や晴娘がてるてる坊主の原型ではないかと言われているんです。だから、陽菜の正体は中国の掃晴娘ではないかっていうのが僕の説なんです」”
  • 架空の神話大系・クトゥルー神話はいかにして生まれ、世界に広がったのか? 森瀬繚さんインタビュー|好書好日

    文・朝宮運河 写真・斉藤順子 森瀬繚(もりせ・りょう)ライター・翻訳家 小説やアニメ・ゲームのシナリオの執筆や、ゲームを中心に神話・オカルト・歴史考証に携わる。翻訳家としてはS・T・ヨシ『H・P・ラヴクラフト大事典』(日語版監修)、リン・カーター他『クトゥルーの子供たち』(立花圭一との共訳)、R・ゼラズニイ『虚ろなる十月の夜』などがある。クトゥルー神話研究家としても、国内の神話作品を網羅したガイドブック『All Over クトゥルー』などの著作がある。H・P・ラヴクラフト作品の注釈付き作品集「新訳クトゥルー神話コレクション」を刊行中(既巻5冊)で、最近kindle版も発売された。 そもそもクトゥルー神話とは? ――近年、「クトゥルー神話」という単語をよく目にするようになりました。ゲームやアニメの題材としてしばしば取りあげられますが、クトゥルー神話とはどんなものなのでしょうか。 主に192

    架空の神話大系・クトゥルー神話はいかにして生まれ、世界に広がったのか? 森瀬繚さんインタビュー|好書好日
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    okbc99 2020/10/09
    “ラヴクラフトの死後、世界中でクトゥルー神話作品が書き継がれていましたが、公式設定と呼べるような標準化された設定は実のところ存在しませんでした。そこに『クトゥルフの呼び声』が登場し、ゲームの設定という