紹介 昭和の頃、小説の中の犯罪者は、固定観念を打ち砕く革命家のようでもあった。激しい怒りと、震えるような苛立ちが彼らを突き動かしていた。作家たちは、彼らに何を仮託していたのか。そして、社会の変化と成熟は、犯罪小説をどう変容させたのか。大藪春彦、江戸川乱歩、松本清張、阿佐田哲也、池波正太郎、小池真理子、宮部みゆき……18人の作家の創作の秘密に、「犯罪」のキーワードから迫る、迫真の文学評論。
紹介 翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されている。翻訳と社会と私達の密接な関係を読みとき、女性の声を伝えるフェミニスト翻訳の可能性を探る。 古川 弘子 (フルカワ ヒロコ) (本文) 古川 弘子(ふるかわ・ひろこ):東北学院大学国際学部教授。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社で雑誌編集と書籍編集に携わったのち、2011年に英国イースト・アングリア大学で博士課程を修了(Ph.D. in Literary Translation)。同大学でのポストドクターを経て2012年より東北学院大学に勤務。主にジェンダーの視点による文学翻訳研究を行っている。共編著書に『The Palgrave Handbook of Literary Translation』(Palgrave Macmillan 2018)、共著書に『Ts?ji, Interpreters in and Around
紹介 2023年に日本人10万人を対象に実施した調査によると、じつに78・5%の人が「疲れている」と答えたという。だが欧米では、「疲れているのに働く」ことは自己管理ができないだらしない行為と見なされるため、疲労の科学的な研究は軽視されてきた。「疲労」が美徳とされ、お互いを「お疲れさま」と称えあう特異な国だからこそ、日本の疲労研究は世界のトップを走っている。本書は、その日本で疲労研究をリードする著者が、数々のノーベル賞級の新研究をなしとげて見えてきた、疲労の驚くべき実像を明らかにするものである。 ◆どれだけ疲れているかは、唾液中のヘルペスウイルスの数でわかる! 人類のほとんどが幼いころに感染する「ヒトヘルペスウイルス6」は、その後、潜伏感染しているが、宿主が疲労すると、 逃げ出そうとして口中に出てくる。 ◆うつ病は、疲労とウイルスから生じる遺伝子が原因である! うつ病の原因は「心の弱さ」では
目次 序章 〈事件〉を物語る時代 一 「社会派」論を超えて 二 社会派ミステリー・ブーム 三 「社会派」論のパラダイム 先行研究(1) 四 「松本清張研究」の「東アジア」論 先行研究(2) 五 問題点と本書の研究方法 [第一部 戦後日本のメディアと〈事件の物語〉] 第一章 『週刊朝日』と松本清張―小説「失踪」の語りから考える 一 「週刊誌ブーム」と松本清張 二 週刊誌が作る「知」と読書の形態 三 編集方針と一致する創作 四 ある「失踪」事件をめぐって 五 小説「失踪」と週刊誌記事の語り 六 『黒い画集』が読者に与えるもの 第二章 「事件」とメディア・世論―松本清張「遭難」と井上靖『氷壁』の「登山者」表象 一 松本清張と井上靖 二 『氷壁』と「遭難」の作品と評価 三 「登山ブーム」と山岳小説―「事件」の意味 四 『氷壁』と「遭難」―誰が真実を語るか 五 メディアへのまなざし 第三章 「内幕も
初版年月日 2023年2月9日 書店発売日 2023年2月13日 登録日 2022年12月23日 最終更新日 2023年2月2日 紹介 「失敗の成功」を反復する映画作家が置かれ続けた孤独。それは何を意味するのか。ゴダールへのインタヴューなどを再録増補した決定版論集。 === いつ炸裂するかわからない時限爆弾として映画があるとするならば、ジャン=リュック・ゴダールの作品はいかなる条件のもとにそうであるのか、あるいはそうでないのか。映画批評的/映画史的差異を捉えた者だけに現れる問題が存在する──。最初の長編『勝手にしやがれ』から遺作『イメージの本』まで、稀代の映画作家が置かれ続けた孤独。撮ることと観ることとのいまだ決着のつかない闘争の場に対峙してきた著者は、「映画はもはやゴダールなど必要としていない」と断じる勇気を持てと訴える。新たなる孤独の創造のために。 === 「失敗の成功」を反復し続けた
紹介 本屋には行く。なぜなら、体にいいからだ。 「ナンセンスな問いに私は駆り立てられる。そこには意味など何もないし、問うたところで社会が変わるというようなものでもない。しかし、しばしば当然と思っているところに風穴を空けてくれることがある。問わなければ気づきもしなかったことが、初めて目に留まる。いつもの日常がちょっと違って見えてくる。世界が可笑しさに満ちてくる。満ちてきたらどうなのだと言われると、困ってしまうが、困ったなあと言いながら、私は今日もナンセンスな問いを発している。」(本文より) 『『百年の孤独』を代わりに読む』『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する』の著者による、待望の作品集。連作エッセイ「本屋に行く」、小説「私の応援狂時代」ほか、各媒体に掲載された作品に書き下ろしを加えて単行本化。 目次 まえがき 本屋に行く「共同開発されたうどんをめぐって」 アウレリャノはTシャツを着たか?
紹介 「常に立ち返るべき郊外文化論の傑作」――速水健朗氏絶賛 米国においてある時期に、国民感情と結びつくかたちで大きな発展を遂げ、明確なイメージを持って定着するようになったサバービア(郊外住宅地と文化)――。 アメリカ映画を渉猟した著者が描く家族とコミュニティの光と影。 古書価格も高騰していた「郊外論」の先駆的名著が30年ぶりに復刊! ※本書は、一九九三年一一月に東京書籍より刊行された『サバービアの憂鬱 アメリカン・ファミリーの光と影』を改題の上、加筆修正して復刊したものです。 目次 序章 第1章 50年代の郊外の世界へ 第2章 新しい郊外の現実 第3章 娯楽を変えた50年代のモンスター 第4章 広告と商品から浮かび上がる郊外の幸福 第5章 アメリカン・ファミリーの出発点 第6章 郊外と都市のはざまで揺れる理想 第7章 変わりゆくアメリカの風景 第8章 アメリカン・ファミリーの亀裂 第9章
紹介 暴力を伴う講演妨害、教授を糾弾し罵倒…… キャンセルカルチャーやポリコレ問題の背景を知るための必読書。 全米ベストセラー、待望の邦訳! 〈内容より〉 「不快」を理由とする講演妨害が横行 言葉尻を捉えて教員を糾弾、辞職へ追い込む 大学教員の政治的多様性が低下。左に偏向 未熟で脆弱、不安・うつが多い「Z世代」 親はすべてを危険と捉え過保護に育ててきた 大学が極端な市場重視に。学生はお客様扱い 立場の異なる論者の講演に対し、破壊と暴力をともなう激しい妨害を行う学生たち。 教員の発言の言葉尻を捉えて糾弾し、辞任を求める激しいデモを展開。 さらには教授や学部長、学長までを軟禁し、暴言を浴びせる――。 アメリカの大学で吹き荒れるこれら異常事態の嵐は、Z世代の入学とともに始まった。 彼らはなぜ、そのような暴挙を振るうのか? 言論の自由・学問の自由を揺るがす現象の実態と背景、 さらには対策までを示し
初版年月日 2022年10月10日 書店発売日 2022年10月26日 登録日 2022年9月12日 最終更新日 2022年9月29日 紹介 ストリッパーとしてオハイオ州コロンバスのゲイエティ劇場に出演していたジプシー・ローズ・リーは、旧知の興行主H・I・モスに誘われ、親友のジージー・グレアムとともに、彼がオーナーを務めるニューヨークのオールド・オペラ劇場に移籍する。華やかな舞台の裏で繰り返される、踊り子同士のいがみあいや喧嘩、口さがない悪口、踊り子とコメディアンとの恋愛沙汰、警察による手入れ、と移籍先での毎日は騒がしい。そんな中、新しいトイレのお披露目を口実に楽屋で開かれたパーティの席上で、皆から嫌われていた踊り子のロリータ・ラ・ヴェルヌが、Gストリングを首に巻きつけた状態の遺体で発見される。自身にも嫌疑を向けられたリーは、恋人のビフ・ブラニガンとともに調査を始めるが、やがて第二の殺人が
紹介 新しい杉並区長の言葉から、「未来」や「希望」が聞こえてくる! ──中島京子 移民として、女性として、活動家としての困難や葛藤の実体験が生んだ、地べたの民主主義がここにある。 ──斎藤幸平 ヨーロッパのNGOで働き、マイノリティとして疎外を感じつつも、新しい「下からの民主主義」を追求してきた著者による、体験的エッセイ。気候正義をはじめとするヨーロッパ政治運動の貴重な報告として、ロストジェネレーションのリアルな声を伝えるレポートとして、そしてフェミニズムを生きる告白として綴る、同時多発テロからコロナ危機まで世界激動の20年を生きた女性の記録。NOではなくYESで世界を変える! ヨーロッパと、そして世界とつながる「希望のポリティクス」の息吹がここにある。 「この本は、ロストジェネレーションに生まれた日本人女性である私が、日本人とオランダ人の国際結婚に葛藤しながら、ヨーロッパの移民として、学
初版年月日 2022年4月25日 書店発売日 2022年5月19日 登録日 2022年4月18日 最終更新日 2022年5月13日 紹介 四十を過ぎて一念発起、ルーマニア語の世界に飛び込んだ著者。たちまちこの情感豊かな言語と、それが紡ぎだす詩や小説の虜になる。爾来四十数年、訳した作品は数知れず。ミルチャ・エリアーデの主要小説をはじめ、リビウ・レブリャーヌ、ミルチャ・カルタレスクからルーマニアの民話やバラード、SFにいたるまで、手がけた翻訳の解説・解題をまとめた本書は、ルーマニアの文学世界への格好の導きとなる。著者のルーマニア愛が溢れる一冊。 目次 はじめに 松本からブカレストまで 第一部 ルーマニア文学雑考 近代ルーマニア文学史概観─『東欧の想像力』より ウルムズ、場違いのシュルレアリスト リビウ・レブリャーヌと『大地への祈り』 リビウ・レブリャーヌ『処刑の森』 知られざるホロコースト マ
紹介 現代哲学を「政治的正しさ」の呪縛から解放する快著 ──帯文・東浩紀 ポリティカル・コレクトネス、差別、格差、ジェンダー、動物の権利……いま私たちが直面している様々な問題について考えるとき、カギを握るのは「道徳」。進化心理学をはじめとする最新の学問の知見と、古典的な思想家たちの議論をミックスした、未来志向とアナクロニズムが併存したあたらしい道徳論。「学問の意義」「功利主義」「ジェンダー論」「幸福論」の4つのカテゴリーで構成する、進化論を軸にしたこれからの倫理学。 哲学といえば、「答えの出ない問いに悩み続けることだ」と言われることもある。だが、わたしはそうは思わない。悩み続けることなんて学問ではないし、答えを出せない思考なんて意味がない。哲学的思考とは、わたしたちを悩ませる物事についてなんらかのかたちで正解を出すことのできる考え方なのだ。(…) この本のなかでは、常識はずれな主張も、常識
紹介 『正義論』で知られるジョン・ロールズ(一九二一~二〇〇二)。「無知のヴェール」「重なり合うコンセンサス」などの独創的な概念を用いて、リベラル・デモクラシーの正統性を探究した。本書はロールズの生涯をたどりつつ、その思想の要点を紹介する。彼が思想とした社会とはどのようなものだったのか。また、批判にどのように応答し、後世にどのような影響を与えたか。戦争体験や信仰の影響、日本との意外な関係などの歴史的背景もふまえ、「政治哲学の巨人」の全貌を明らかにする。 齋藤 純一 (サイトウジュンイチ) (著/文) 1958年福島県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程中途退学。横浜国立大学経済学部教授等を経て、現職。2016-2018年、日本政治学会理事長。単著に、『公共性』(岩波書店、2000/5)、『自由』(岩波書店、2005/12)、『政治と複数性』(岩波書店、2008/8)、『不平等
紹介 ミルハウザー初期傑作長篇、待望の邦訳! 舞台は一九五〇年代のアメリカ、コネチカットの町、主人公の少年アーサーは、周囲の世界に潜んでいる驚異に魅惑されながらも、凡庸な日常に退屈して暮らしている。ポーの心酔者フィリップ、鉱石集めやボードゲームに熱中するウィリアム、不登校で人形や玩具を集めた部屋で過ごす少女エリナーという三人の「同好の士」がいる。 ある日、アーサーがいつものようにエリナーの部屋を訪れると、窓が開け放たれ、陽光が差し込み、腕まくり姿のエリナーを目にする……。 微熱を病む少年が微睡みがちのなかで見る「白昼夢」のような作品。中篇や短篇を特徴づける職人芸的な緻密さに貫かれた文章とは違い、「死」の影が全編を覆う。微に入り細を穿った、重厚で反復の多い文体は、思春期の生の瞬間を濃密に伝える。 作家ミルハウザーは『マーティン・ドレスラーの夢』でピュリツァー賞を受賞した、現代アメリカ文学を代
殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow (シュノウマサユキドクショニッキ20002009 ザリーディングダイアリーオブマーシースノウTHEREADINGDIARYOFMERCYSNOW)
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