一審では無期懲役判決が出ていた旧今市市の女児殺害事件の控訴審では、検察側が殺害の日時と場所を大きく広げる訴因変更を請求し、裁判員裁判での審理がずさんだったのではないかと問題視されていました。昨日の公判ではこの訴因変更が認められるとともに、被告人質問では被告人が「決めつけられ、もう犯人になるしかないと思った」などと語ったと報じられています。 この「犯人になるしかないと思った」は、虚偽自白をするひとの心理として浜田寿美男氏が繰り返し指摘してきたものです。氏の虚偽自白に関する著書として現時点で(おそらく)もっとも新しいのは岩波書店の「シリーズ 刑事司法を考える」第1巻『供述をめぐる問題』に所収の第5章「虚偽自白はどのようにして生じるのか」だと思われますが、この論考にも「虚偽自白を語る心理―「犯人を演じる」ことで取調官との人間関係が結ばれる」と題した節があります。 もっとも、捜査段階で自白した被告