国内での拡大が続く新型コロナウイルス感染症に対し、待ち望まれている治療薬。安倍晋三首相は3月28日の記者会見で、「わが国では4つの薬について、すでに観察研究としての投与を開始している。そのうち新型インフルエンザ治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンについては、これまで数十例で投与が行われている。ウイルスの増殖を防ぐ薬であり、すでに症状の改善に効果が出ているとの報告もある」と述べた。 現在、日本で有望視されている候補薬は、「アビガン」のほか「レムデシビル」「カレトラ」「オルベスコ」という計4種類の薬剤だ。社会不安を解消するためにも、1日でも早く治療薬がほしいところだが、一方で本当に効くかどうかを科学的に証明するためには、実際に人に投与した症例を集めて解析する「臨床試験」が必要となる。たとえ有効性が確認できたとしても、「特効薬」と呼べるものになるかは未知数で、過度な期待は禁物