世論調査では、次の選挙で民主党を支持するという人が自民党支持者を凌駕(りょうが)している。また、メディアの大半が、麻生太郎首相に対して、殊更厳しい論評を展開中だ。 こんなときこそ、指導者は一ミリもひるまず、自分の使命に思いを巡らすのがよい。 わずか20名の小派閥の長が首相に就任したのは、いかなる天命によるものか。加えて、自分は何を訴えてきたのかを考えるのだ。 未曾有の金融危機から、日本はどの国よりも早く脱すると、首相は宣言した。そのための第2次補正予算を組んだ。同案への批判は自民党内でさえも厳しいものがある。だが、今更ひるんでどうする。いまは、よかれと思う政策を全力で推進することが肝要だ。 眼前の補正予算成立に心を砕く一方で、首相が肝に銘ずるべきは、天命と信念である。 自民党総裁に選ばれたとき、首相は、祖父の吉田茂元首相に言及した。吉田がやり残した課題は、日本に真っ当な軍隊を作ることだった