『ゲーム的リアリズムの誕生』(二〇〇七年)の「付録B」の「萌えの手前、不能性に止まること――『AIR』について」に心を動かされた。もともと、共著『美少女ゲームの臨界点』(二〇〇四年)に収録されたものだという。そちらの論集は僕の手元にはない。 ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書) 作者:東 浩紀講談社Amazon 『ゲーム的リアリズムの誕生』に付された短いこの「付録」は、おそらく、前作『動物化するポストモダン』(二〇〇一年)ばかりか、本作『ゲーム的リアリズムの誕生』の中の一つの死角をも、内側から食い破るように自己批評している。そのように感じられた。そこに心を動かされた。 東浩紀はそのオタク論を展開する場合に、しばしばエロゲー/美少女ゲームについて論じてきた。にもかかわらず、エロゲーのポルノ的な側面、あるいは性暴力的な側面には積極的に触れようとはしてこなかった