こんな話がございます。 我々関東者にとって英雄と申しますト。 一も二もなく、平将門公でございますナ。 何故かト問うのは野暮というものでございます。 訳あって崇め奉るわけではない。 訳もなく崇めたくなるのが、真の英雄で。 将門公は、一族内での争いに端を発しまして。 やがて京の朝廷から東国を自立せしめんと標榜し。 一時は「新皇」を称するに至りましたが。 最期は藤原秀郷らに討伐されまして。 波乱に満ちた生涯を閉じられました。 その際、京の都大路にて首を斬られましたが。 三日目の晩に、首が故郷関東を目指して飛んでいき。 今の大手門外の地に落ちたト申します。 その首塚に「蛙」の置物が数多奉納されている。 これは、旅人が国へ無事「帰る」という願いを込めたものだそうでして。 もっとも将門公自身は、無事には帰っておりませんが。 さて、将門公が討ち取られましたその後も。 新皇の勢力は、捲土重来を期して、各地