怖い話と落語に関するonboumaruのブックマーク (14)

  • 落語の怖い話より 「鰍沢(かじかざわ)」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 ご承知の通り、法華の総山ト申しますト。 身延山(みのぶさん)久遠寺でございまして。 これは山がちで知られる甲斐の国の。 さらに深い山の奥でございます。 ときは冬。 吹雪の激しい日のことで。 振り分け荷物の旅人が。 参詣道を急いでいる。 法論石から小室山。 毒消しの護符を授かりまして。 富士川を下って身延へ参るべく。 これから鰍沢(かじかざわ)へ出ようという。 駿府まで急流が下る富士川の。 大きな河岸(かし)のひとつが鰍沢。 折からの大雪に足を取られ。 日暮れまでに抜けられそうにもない。 とはいえ、野宿もしようにない。 行けども行けども雪景色。 このままでは凍え死んでしまう。 そう心細く思っておりますト。 遠くに人家がポツンと見えてきた。 「御免ください」 あばら家の板戸をドンドン叩く。 ガラリと出てきましたのはひとりの女。 どうかト一夜の宿を乞うト。 どうぞト中へ

    落語の怖い話より 「鰍沢(かじかざわ)」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2018/11/22
    三遊亭圓朝作の三題噺より
  • 落語の怖い話より「藁人形」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 江戸四宿の一、奥州街道は千住の宿。 ここは小塚原(こづかっぱら)の刑場に近いためか。 はてまた、掘れば罪人の骨(こつ)が出るためか。 一名を「コツ」ト申しますナ。 さて、このコツに立ち並ぶ女郎屋を。 一軒一軒拝んで歩く坊主がひとり。 名を西念ト申す願人坊主(がんにんぼうず)。 千住いろは長屋、への九番に住むトいう。 良く言えば坊主でございますが。 有り体に申せば乞も同然で。 念仏の真似事をして、人様から施しを受けている。 朝は一番に観音様へお参りをし。 それから日暮れまで江戸中をもらって回る。 実に熱心なおもらいでございます。 そして、軒下に立つ西念のその姿を。 二階の手摺から見下ろしている。 美しくも、はかなげな人影がひとつ。 これは女郎屋若松の板頭(いたがしら)。 つまりこの店一番の人気女郎で。 年の頃なら二十二、三。 名をお熊ト申す、稀代の美人でございます。

    落語の怖い話より「藁人形」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2018/05/20
    落語「藁人形」より
  • 落語の怖い話より 「雨夜の悪党 引窓与兵衛」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    ところが、この与兵衛ト言うのが只者ではございません。 廻り髪結いト申せば聞こえは良いが。 呼ばれなければ廻りもしない。 時には呼ばれても行かない始末。 髪結いなんぞは博打の合間の余興程度に考えている。 江戸を離れ、かような在に住まっておりますのも。 そもそもが江戸に住まっておられなくなったからで。 引き窓の与兵衛ト呼ばれておりますのも。 金に困るト、引き窓――つまり、台所の上の天窓ですナ。 そこから忍び入って、盗みを働くトいう悪癖からで。 初めからお早を良い金づるくらいに思っている。 さっそく、好きな博打に金を使い込む。 博打で蔵を建てた人など聞いたことが無い。 大抵は取られるものト決まっておりますので。 半年も経たぬうちに新所帯は没落する。 荷車で運び入れた着物の山ナド見る影もない。 亭主は継ぎを当てた半纏を着て。 女房は簪ならぬ木の枝を髪に挿している。 そんなある日の暮れ方のことでござ

    落語の怖い話より 「雨夜の悪党 引窓与兵衛」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2018/02/12
    三遊亭圓朝改作「雨夜の引窓」より
  • 落語の怖い話より 「怪談乳房榎(二)四谷十二社滝の亡霊」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    「なに、誰も聞いてなどおらぬ。お前のお陰で邪魔者を消して、首尾よく跡を継ぐことが出来た」 「わ、わしはただ――」 「いいのだ。そのことを蒸し返そうと言うのではない。実は、おきせがとうとう我が胤を宿してな」 「ご新造が」 「そうだ。そこで、お前に折り入って頼みがある」 「な、なんだね」 身を乗り出してくる浪江の顔を、正介は息を呑んで見返した。 「どうも真与太郎の目つきが気にわない。あの目はいつか俺を親の仇だなどとつけ狙う目だ」 「ば、馬鹿を言っちゃあいけねえ。二つやそこらの乳飲み子に、目つきも何もありましねえ」 「お前、あれを殺せるだろう」 途端に正介の胸がドッと高鳴った。 「お、お前様。いけましねえ。いけましねえ。あんな頑是ない坊ちゃまを――」 「なんだ。嫌なのか。ははあ、なるほど。お前、去年の落合の件では余儀なく加担したが、心ではまだ元の主人への忠義があるものと見える。さては、いつか俺

    落語の怖い話より 「怪談乳房榎(二)四谷十二社滝の亡霊」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2017/11/12
    三遊亭圓朝作の怪談噺「怪談乳房榎」より。完結編。
  • 落語の怖い話より 「怪談乳房榎(一)落合の蛍狩り」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 馬場で知られます高田の砂利場村に。 大鏡山南蔵院なる寺院がございまして。 これはその天井に墨絵で雌龍雄龍(めりゅうおりゅう)を描いたという、 絵師菱川重信の話でございます。 重信は年三十七、元は秋元越中守の御家中で。 名を間与島伊惣次(まよじま いそうじ)ト申す武士でございましたが。 生来、絵が好きなものですから、じきに堅苦しい勤めが嫌になる。 みずから暇を申し出まして、柳島の新宅に引き籠もりますト。 爾後、絵ばかり描いて暮らすようになったト申します。 は年二十四、名をおきせト申しまして。 これが大変な美人でございます。 役者の瀬川路考演ずる美女に似ているト。 誰言うとなく「柳島路考」ト呼ばれるほどで。 さて、この重信に、ある時お弟子が一人できました。 名を磯貝浪江(いそがい なみえ)ト申す、年の頃二十八、九の浪人で。 鼻筋が通って色は浅黒く、苦みばしった佳い男で

    落語の怖い話より 「怪談乳房榎(一)落合の蛍狩り」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2017/11/11
    三遊亭圓朝作の怪談噺「怪談乳房榎」より。前半部分。
  • 死神 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 ある年の暮れのことでございます。 貧しい男がひとりございまして。 金の算段もつかぬまま家に帰ってまいりますト。 女房が眉を吊り上げて待っている。 「空手で帰ってきたのかい。全くだらしがないね。どうやって年を越すんだよ。もう一度無心に行っておいでよ。借りられるまで帰ってくるんじゃないよ。このうすらとんかちッ」 ト、けんもほろろに追い出されてしまった。 「畜生、なんて女だ。ああ、嫌だな。俺ァ生きてるのがつくづく嫌になっちまった。――死のうかしら」 寒空の下、大川端を当てもなく歩いているト。 思わずそんな愚痴も出る。 「しかし、死んだことがないからな。首吊りがいいかな。それとも身投げがいいかな。どうやって死のう」 ぶつぶつ独り言を言っているところへ――。 「教えてやろうか」 不意に声を掛けられ、男はゾッとして振り返る。 物陰から何者かがにゅっとこちらをみつめている。 毛は

    死神 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2017/01/20
    三遊亭圓朝作「死神」より
  • 黄金餅 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 俗に「つっけんどん」ナドという言葉がございますナ。 これは漢字では「突慳貪」と書くそうで。 元は仏門の方から出た言葉だとか申します。 「慳」はケチん坊、「貪」は欲張りを指すトいう。 この二文字が一組になっていることを見ましても。 ケチと強欲は一見、正反対のように見えはいたしますが。 実は表裏一体、紙一重の関係にあるのかもしれません。 下谷山崎町に、長屋がひと棟ございまして。 貧乏人の吹き溜まりのような、わびしい佇まいでございましたが。 その片隅に、西念ト申す、くたびれた坊主が一人住んでおりました。 長屋に住んでいるくらいでございますから。 坊主と言ってもまともな坊主ではございません。 いわゆる願人坊主トいうやつでございます。 良く言えば、托鉢専門の民間僧。 悪く言えば、頭を丸めただけの乞と言っても差し支えない。 参詣、水垢離を代わってお引き受けいたしましょうト。

    黄金餅 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/12/05
    三遊亭圓朝作「黄金餅」より
  • 後家殺し | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 俗に、義太夫節は音曲の司(つかさ)などト申しまして。 聞いて楽しむのもよし、やって楽しむのもまたよしトいう。 お好きな方は寝を忘れてのめり込みます。 素人にも職顔負けの腕前の者がたくさんいる。 そもそもは大坂の竹義太夫が初めた節付きの語り物で。 座付作者の近松門左衛門が、人形浄瑠璃の傑作をいくつも書きました。 ところで、これは浄瑠璃に限りませんが。 お客が芸人に掛け声をいたします時に。 「待ってましたッ」 「よッ、日一ッ」 ナドと声を掛けますナ。 花火が上がれば、 「玉屋アァ」 ナドとも叫びます。 ところが、この義太夫を聞くときの掛け声はちょっと変わっている。 太夫(たゆう)が唸る。 徐々に場が盛り上がってまいりますト。 お客が間合いを見計らいまして。 「よッ、後家(ごけ)殺しッ」 ト、声を掛けます。 これが一番の褒め言葉だそうで。 そんな物騒な褒め方を。

    後家殺し | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/11/17
    落語「後家殺し」より
  • 今戸五人切 お藤松五郎 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 両国広小路にずらりと居並ぶ茶店の中に。 「いろは」ト申す流行りの店がございまして。 その看板娘は、名をお藤ト申す十九の別嬪でございます。 お藤をひと目見たさに、客が江戸中から集まってくるほどで。 そんな野郎客どもの淡い恋心をあざ笑うかのように。 このお藤にはしっかりと、旦那というものがございました。 母親ぐるみ、柳橋の家にとうの昔から囲われている。 母娘が贅沢な暮らしを送れるのも、みなこの旦那のお陰でございます。 評判の茶屋娘を囲っているのは、どんな男かト申しますト。 横山町で道具屋を営んでいる、萬屋清三郎ト申す分限者です。 金はあるが、色の生ッ白い、ぶよぶよと肥えた男でして。 お藤はこれを「水瓶へ落ちたおまんまッ粒」ト、実は大層嫌っている。 その日は昼頃からぽつぽつト雨が降り出しまして。 お藤と母は早くに店をしまい、家に引きこもる。 二階に上り、母娘で昼間から差し

    今戸五人切 お藤松五郎 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/11/08
    落語「お藤松五郎」より
  • 大岡政談 白子屋お熊 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 享保の頃。 日橋新材木町に軒を連ねる材木問屋のうちの一軒に。 白子屋という大店がございました。 この店に、江戸中で評判の美人がおりましたが。 それが、名をお熊ト申す、一家の一人娘でございます。 年はこの時、二十三でございました。 大店の一人娘で、かつ大層な美人ときておりますから。 誰が白子屋の富とお熊の美貌を一手に収めるのか。 つまり、誰が白子屋の婿養子に収まるのかト。 そんな話題が、長らく江戸中を賑わせておりました。 それが、五年前、お熊十八の年に決着がつきまして。 白子屋の婿として迎えられたのは、又四郎ト申す地味な四十男でございます。 さて、この白子屋の身代が大きく傾いたことがございましたが。 それがほかでもなく、又四郎が婿入りする前後のことでございました。 お熊にはまるで姉妹のようだと評される母親がおりました。 名をお常ト申し、年は四十を過ぎておりますが。

    大岡政談 白子屋お熊 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/27
    「大岡仁政録」より
  • 猫定 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 両国の回向院に塚トいうものがございます。 が死にますト、飼い主が回向料とともに、の亡骸を持ち込みまして。 寺の僧侶がお経を読んで、を葬ってくれるという。 これは、この塚に最初に入ったというの話でございます。 八丁堀の玉子屋新道に、魚屋を営む定吉ト申す者がございました。 もっとも、魚屋とは名ばかりで、その実は博奕打ちでございます。 毎日を遊んで暮らしている。 この日も、朝湯の帰りに馴染みの三河屋という居酒屋に立ち寄りまして。 風呂あがりの一杯とばかりに、呑気に引っ掛けておりますト。 ポカッ、ポカッと、頭の上から妙な音が聞こえてくる。 博奕打ちというのは、我々とはものの考え方が異なっているようで。 ――板に何かを叩きつける音がする。 なるほど、やってやがるな―― ト、てっきり丁半博打の壺を伏せる音と勘違いいたしまして。 「おい、六さん」 店の者を呼びつけます。

    猫定 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/13
    落語「猫定」より
  • 怪談牡丹燈籠 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 根津の清水谷に、田畑と借家を持ち、その実入りで暮らしている浪人がございました。 名を萩原新三郎と申します。 年はまだ二十一と若く、おまけに男振りもすこぶる良いという。 二月の初めのある日のこと。 新三郎の家に山志丈と申す幇間(ほうかん)が遊びに参りました。 表看板は医者ですが、医術のイの字も知りません。 金づるのもとを巡回しては、お座敷でご機嫌を取るという。 いわゆる太鼓持ちというやつですナ。 これを一名、幇間医者(たいこいしゃ)ト呼ぶ。 「あなた。そう毎日閉じこもって、々と書見ばかりしていたら、せっかくの男振りがすたれます。今日はお天気がようがすから、一つ亀戸の臥竜梅でも見に行きましょう」 などト言って連れだしますが、実のところは自分が事にありつきたいというのが心で。 こうして新三郎は梅見に駆りだされることになりましたが。 その帰りに志丈が連れて立ち寄った

    怪談牡丹燈籠 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/06/28
    三遊亭圓朝作「怪談牡丹燈籠」より
  • 江島屋怪談 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 芝神明宮の近くに、江島屋と申す古着屋が暖簾を掛けておりました。 古着屋と申しますが、蔵まで持っているような、大店でございます。 ト申しますのも、婚礼の晴れ着や弔いの喪服などというものは、値は張りますが毎日着るようなものじゃない。 一生に何度着るか分からないようなもののために、そうそう大金ははたけません。 そこで、繁盛するのが古着屋で。 ろくに着られないうちに古くなった着物を買い集め、町人相手に安く売る。 古着とはいえ、元は上物ですから見栄えは良い。 町人などは必要な時が来たら、こういったもので間に合わせます。 お侍でもサンピン――イヤ、未だご栄達に縁のない方や、ご浪人なども、こうした古着屋で羽織袴を調達されるそうですが。 ところが、当に繁盛している古着屋というのは、何もこれだけでっているわけではない。 俗に「イカモノ」と申しますが、縫いの甘い粗悪品を、それら上物

    江島屋怪談 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/06/19
    三遊亭圓朝作「鏡ヶ池操松影(通称:江島屋騒動)」より
  • もう半分 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 千住の小塚ッ原に、あまり流行らない居酒屋がございまして。 夫婦二人で切り盛りしておりましたが。 流行らないというのはそれはもう当然で。 小塚ッ原と申しますと、江戸に二つしかない処刑場の一つでございます。 もっとも、そんなものは二つあれば十分ではございますが。 ともかく、こんなところで酒を呑みたいという御仁はあまりいない。 ところがただ一人、奇特にも常連の客がございまして。 棒手振りの八百屋の爺さんが毎晩せっせと通ってくる。 天秤棒を担いだ行商ですナ。 この爺さん、変わっていることがまだ一つある。 いつも飯盛茶碗に半分だけ酒を注いでもらい、お代も半分にしてもらっておりました。 当人に言わせると、いつ酔っ払って粗相をするかわからないので。 ト、いうことだそうでございますが。 どうやら、店の側では目分量で注ぎますので、半分頼めばどうしても人情で量が多めになる。 半分を二回

    もう半分 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/05/26
    落語「もう半分」より。
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