こんな話がございます。 唐の国の話でございます。 孟母三遷トいう言葉がございますが。 これは孟子の母が息子の正しい修養のために。 三度までも引っ越しをしたというお話でございまして。 一度目は、墓地の近くに住まいましたが。 息子が葬式の真似をして遊ぶようになった。 二度目に、市場の近くに住まったところ。 商売人の真似をして遊ぶようになった。 三度目に、学問所の近くに住まいいたしますト。 礼儀作法の真似事をするようになったという。 ここに至って、孟子の母はようやく納得したそうでございます。 これに鑑みますに古来、母親ト申すものは。 我が子の――殊に息子のト申して良いでしょうナ―― 子の人生を何かと管掌したがるもののようでございます。 ところがあまり口出しが過ぎますト。 後に災禍をもたらさないとも限りません。 唐の貞元年間のこと。 望苑駅の西に王申ト申す者が暮らしておりました。 この者は非常に義