正義に反する言語道断の愚行である。 鹿児島県警が捜査書類の適宜廃棄を促す内部文書を作成し、捜査員に周知していたことが発覚した。刑事事件の裁判のやり直しを求める再審請求などで、弁護側の証拠に利用されるのを防ぐ目的も書かれている。 インターネットメディアに「組織的な隠蔽(いんぺい)の奨励」などと報道された直後、問題の部分を訂正したというが、責任は免れまい。 通常の刑事裁判では、捜査当局が有罪方向の証拠しか出さず、被告に有利な証拠を隠す傾向が指摘されている。 裁判所に未提出の捜査書類を警察が廃棄すれば、意図的に隠されたり、埋もれたままになっていたりした被告の無罪を証明する証拠が失われる可能性がある。「適宜廃棄」は冤罪(えんざい)を生みかねない犯罪的行為と言っていい。 問題の文書は昨年10月2日付の刑事企画課だよりだ。 「適正捜査の更(さら)なる推進について」と題し「最近の再審請求等において、裁判