タグ

ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (99)

  • アベノミクス・ゼロ成長状態の1年 - 経済を良くするって、どうすれば

    アベノミクスがゼロ成長状態に陥ったと、このコラムで診断したのが昨年のG.W.だったから、1年が経ったわけである。この間、無策どころか、更なる緊縮財政を進め、2015年度を通じて、まったく成長することができなかった。経済状態を素直に読み、適切に対応していたら、別の結果になっていただろう。 現実には、年明けからの円高株安に驚いて、初めて経済状態の悪さに気づき、慌てて景気対策を言い出す有様である。この国は、株価で経済の舵取りをしているのか? 異次元緩和Ⅱをしたために、株価はアテにできなくなっているのに、これにみずから騙されるなんて、レベルの低さに、情けなくなってくる。 ……… 連休前に3月の経済指標が一斉に発表され、家計調査は、二人以上世帯の消費支出(除く住居等)が季節調整値で前期比+0.1となった。やれやれ、これで1-3月期GDPの消費は、うるう年効果もあって、プラスを確保できるのではないか。

    アベノミクス・ゼロ成長状態の1年 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 消費増税の災厄は最大級のものに - 経済を良くするって、どうすれば

    去年のことは思い出せても、2年前となると、季節がかぶるせいで、かなりぼやけてくるものだ。消費増税で痛めつけられた記憶が生々しい頃なら、その悪影響は論ずるまでもなかったが、今時分になると、当にそうだったのかと言い出す人もいる。しかし、時間が経った今にして、分かることもある。この間に、増税は、リーマンショックを超える大打撃を消費に与えたことが数字で明らかになってきている。 ……… 消費増税は、物価を引き上げることによって、消費を減らす効果を持つので、影響を判断するには、消費の動きを見るべきと考える。GDPでは、最新の2015年10-12月期は528兆円であり、2年前の同期と、ほとんど変わらないから、「影響はなかった」と言えなくもないが、消費は10兆円減り、純輸出が7兆円、設備投資が3兆円増えた結果である。「増税なしに、輸出や設備投資は増えなかった」といった主張をするのでなければ、消費増税を無

    消費増税の災厄は最大級のものに - 経済を良くするって、どうすれば
  • ちょっと気になる社会保障と経済政策 - 経済を良くするって、どうすれば

    論が立つ人ほど、大きな間違いを犯しがちで、「日の年金制度は給付を子世代の保険料で賄う賦課方式。その子世代は少子化で減少。よって年金制度は崩壊の運命」といった論法を振り回し、世の中に誤解と不安を広げてしまう。そして、「積立方式に転換し、お金を貯めて子世代に頼らないようにすべきだ」と畳み掛ける。制度や経緯を軽視する経済学者には、困ったものである。 そのあたりの事情を赤裸々に綴ったのが、このほど、慶應義塾の権丈善一教授が著した『ちょっと気になる社会保障』である。権丈教授は、隘路に迷い込みそうだった日の年金改革を、正道に引き戻すのに大きな役割を果たされた。社会保障を学ぶ人に限らず、経済を通じて国民生活を改善したいという志を持つのであれば、ぜひ、書店の福祉のコーナーまで足を伸ばし、手に取ってもらいたい一冊だ。(へのへのもへじが目印) ……… 論理が完璧でも、誤謬に陥ってしまうのは、論理は、切れ味

    ちょっと気になる社会保障と経済政策 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 無限ループのデフレ日本 - 経済を良くするって、どうすれば

    先週金曜日に発動された日銀の「三次元緩和」だったが、円・株ともに元の水準へと戻り、「三日限緩和」に終わった。この水準で固定化する働きを見せるかは、これから、マーケットが教えてくれる。他方、10-12月期GDPのマイナス成長が確実視される中で、企業収益にも陰りが出てきた。これは税収にも響いて、緊縮欲を刺激しよう。金融緩和による回復、緊縮財政での失速、そして、更なる金融緩和の催促という、無限ループに終わりは見えない。 ……… 昨日の日経は、「上場企業が増益を確保 今期は内需が下支え」と伝えていて、前向きな感じを出しているが、3か月前は「上場企業16年3月期は8%増益」(11/7)だったから、今回の「3%弱の増益」とは開きがある。原因は、「10~12月の3か月でみると経常利益は前年同期比で5%減」となったためである。内需企業が牽引しているとは言え、マイナス成長になっていなければ、恩恵はもっと大き

    無限ループのデフレ日本 - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・10-12月期は内需総崩れ - 経済を良くするって、どうすれば

    12月の家計調査は、二人世帯の実質消費支出(除く住居等)の季節調整済指数が93.6という惨憺たる結果だった。前月比は+0.9でも、消費増税直後の2014年4月と同水準という内容だ。GDPの6割を占める消費が10-12月期の成長率を大きく下げるのは確実で、鉱工業指数の動向からすると、その他の内需も総崩れの様相を呈している。消費増税に続く、2015年度の8兆円に及ぶ緊縮財政は、異次元緩和第2弾もものかわ、成長抑圧に絶大な威力を発揮したことになる。 ……… 家計調査は、11月が消費増税直後の底さえ割る異常な低さだったので、大きなリバウンドを願っていたが、やはり、そうはならなかった。12月の商業動態の小売業は、前月の急落に続き、前月比-0.2であり、鉱工業指数の消費財出荷は、低かった前月から+0.3でしかない。これらを踏まえると、10-12月期GDPおける民間消費は、前期比-0.5より大きな減少を

    アベノミクス・10-12月期は内需総崩れ - 経済を良くするって、どうすれば
  • バーナンキと緊縮財政 - 経済を良くするって、どうすれば

    中央銀行のトップとしてのベン・バーナンキの際立った特徴は、財政に対する見方だろう。中銀は、コントロールしがたい長期金利の高騰を恐れ、緊縮財政を求めがちだが、バーナンキは批判的であり、むしろ、悪影響を案じて補おうとした。在任中は、立場上、口に出せることではなかったが、大恐慌について深い見識を持つ彼にとっては、当然のことであり、年末に上梓された回顧録の『危機と決断』では、その内情が語られている。 ……… 多くの読者の関心は、リーマン・ショックでの危機管理にあるかもしれないが、それは、ウォルター・バジョット以来の流動性の大量供給という方法論が確立されており、バーナンキも、これに倣いつつ事態を収拾して行く。難しさは、「なぜ、バブルに踊った金融機関を救済するのか」という素朴な民意をどう宥めるかである。回顧録では、政治を説得する過程での苦衷が描かれている。 他方、バブル崩壊後、どうやって経済を立て直す

    バーナンキと緊縮財政 - 経済を良くするって、どうすれば
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2016/01/18
    年末に上梓された回顧録の『危機と決断』では、その内情が語られている。
  • アベノミクス・まさかの消費底割れ - 経済を良くするって、どうすれば

    さすがに、11月の家計調査が消費増税直後の水準を下回るとは思わなかったよ。二人以上世帯の季節調整済指数の実質消費支出は91.8と、2014年5月の92.4より低く、過去15年間で最悪である。3か月で合わせて-4.0という落ち幅も大きく、東日大震災時の2011年2~3月にかけての-3.9を超える。政府・日銀の「消費は底堅い」は、まさかの底割れで根拠を失い、消費という「一部の弱さ」によって、10-12月期GDPはマイナス成長が濃厚となった。 ……… 消費不振は暖冬が理由にされているが、たまたま、お金を使う機会がなかったというのではない。勤労者世帯の可処分所得も、最悪の水準に落ちており、使えるお金が減っているのである。9-11月の可処分所得の平均は、6-8月より-3.3も少ない。この間の消費支出が-0.8にどどまり、消費性向が+0.7と上がっていることを踏まえれば、むしろ、消費は健闘していると

    アベノミクス・まさかの消費底割れ - 経済を良くするって、どうすれば
  • 高い有効求人倍率の幻想 - 経済を良くするって、どうすれば

    最新の9月の有効求人倍率は、1992年以来の23年ぶりの高さだったが、バブルの頃の水準と言われる割には、好景気の実感がなく、消費増税以降は、逆に悪化している印象がある。いまや唯一ともなったアベノミクス御自慢の数字だが、検証すると、やはり失速していることが分かる。こうした傾向は、家計調査など他の統計と共通するものだ。「家計調査は低すぎる」などと批判するより、現実を直視すべきだろう。 ……… 有効求人には前月から繰り越されたものが含まれ、倍率は求職者の減少によっても上がるので、今回は、新規求人が、前年同月と比較し、どのくらい増えているかに着目した。フルタイム(正確には「除くパート」)における結果は、下図のとおりである。ここでは、各月の変動が激しいことから、傾向性をつかみ易くするよう、3か月移動平均を示している。 新規求人の増加数を追うと、リーマン・ショックの影響が癒えるに従い、2010年に大き

    高い有効求人倍率の幻想 - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・成長の原動力を喪失 - 経済を良くするって、どうすれば

    消費増税後、アベノミクスを支えているのは在庫増だと皮肉っていたら、その在庫増さえ失われたようだ。これから消費が緩慢ながら回復するとしても、今度は投資財の在庫の整理が足を引っ張るため、次の10-12月期で成長を確保するのは、そう簡単ではない。「2四半期連続のマイナス成長でも、次こそは」などと、先に目を逸らしたりせず、2年続きの緊縮財政は大失敗で、金融緩和や法人減税の効なく、アベノミクスに景気後退をもたらしたと、心に刻むべきときである。 ……… 今回は、鉱工業指数の在庫のグラフを見てみよう。2014年4月の消費増税を境に、消費財の急激な在庫増によって、全体として在庫は上昇し、いったん緩やかになったものの、今度は投資財の在庫、中でも設備投資を映す資財(除く輸送機械)の急増によって一段と高まり、この7-9月期に至って、ようやく止まった。主役が交代しつつ、在庫を膨らませて、アベノミクスの成長を支え

    アベノミクス・成長の原動力を喪失 - 経済を良くするって、どうすれば
  • バブル失政と今 - 経済を良くするって、どうすれば

    四半世紀前、日に株・土地バブルを発生させた失敗は、異次元の金融緩和をしている我々に、何を教えてくれるのか。このほど、軽部謙介さんが著した『検証バブル失政』は、そういう読み方をされると思う。確かに、金融緩和は、昔も今も、株価を押し上げ、円高の是正に力を貸した。そして、物価を上昇させていない。実は、そのことが道を誤った大きな要因なのである。 ……… 物価上昇は、消費の需要が供給を上回ることで生じる。今、物価が上昇していないのは、消費増税によって家計の所得を抜き、需要を下げてしまったからである。円安による輸入品の値上がりによっても物価上昇は生じているが、国民の生活水準を下げるだけの「悪い」物価上昇に過ぎない。 一方、1980年代の物価安定は、なぜ生じたのか。実は、これも緊縮財政によるものだ。ただし、引き締めていたのは、財政ではなく、社会保障基金だった。厚生年金を始めとする公的年金が、毎年、GD

    バブル失政と今 - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・景気後退の認識と補正予算への道 - 経済を良くするって、どうすれば

    消費増税以来、エコノミストは「次の四半期には回復」と言い続けて来たように思う。実際には、月次の経済指標が出るごとに、下方修正の繰り返しであった。しかし、今回は、7月指標が判明した段階で、ゼロからマイナスの見通しが出始め、もはや、8月指標ではコンセンサスとなっている。主因の消費低迷は2月からだったから、認識が改まるのに半年を要したことになる。ことほど左様に、認識とは現実以上に変わりがたいものである。 この調子では、来夏には参院選もあり、大型の補正予算が組まれることになろう。補正予算は、消費増税前の2016年にも必要だし、足元の増税の悪影響の長引き具合からすれば、翌2017年にもやらざるを得まい。つまり、「締め過ぎてバラマキ」を3年連続でするのだ。これを繰り返して来たがために、肝心のところに予算が行かず、貧困が蔓延し、少子化も続いて、日の劣化が進んだ。こちらには、いつ気がつくのだろう。 ……

    アベノミクス・景気後退の認識と補正予算への道 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 9/16の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    景気指標の中で、唯一、希望を与えていた機械受注(除く船電)だったが、6、.7月と連続で低下してしまい、他の指標同様、反動減からの回復が終わって停滞に入るというパターンになったようだ。一般的に機械受注は先行指標だが、需要の停滞の後を追う形である。結局、金融緩和や法人減税をしたところで、緊縮財政で需要を抜かれていては、独行できないという、当たり前の成り行きだろう。 こうしたことからすれば、政府から賃上げや設備投資を求められても、経済界も困るだろうね。まあ、緊縮財政と法人減税の組み合わせは、みずから望んだことだから、同情に値しないが。他方、政府も、賃上げや設備投資に使われなかった一部は、法人税や配当所得税として収得しているわけだから、それを溜め込んだまま、相手に求めるのもどうかと思う。そして、少子化対策の財源については、溜め込んだ者どうしが、互いに「使え」と言い争う有様だ。なんとも見苦しい。 (

    9/16の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクスは豹変できるか - 経済を良くするって、どうすれば

    アベノミクスの不振の理由は明らかで、2014年度は、8.1兆円もの一気の消費増税をしたことであり、2015年度は、引き続き、8兆円規模の緊縮財政をしているためである。今年度の緊縮は、あまり意識されないが、補正予算で公債減額を0.8兆円、予算で4.4兆円、地方財政で1.2兆円、厚生年金で収支改善1.6兆円をしたことを忘れてはいけない。加えて、国の税収だけで、3.2兆円の上ブレが予想される。原油安メリットがなければ、停滞では済まなかっただろう。 緊縮財政が敷かれていることは、政府の「中長期の経済財政の試算」でも明らかにされている。2015年度は、財政収支がGDP比で1.4%、約7兆円改善すると記されている。むろん、これには、年金収支や税収上ブレは含まれない。これだけ吸い上げれば、日経済の成長力は年率1.6%くらいのものだから、「緊縮財政は景気に影響しない」という信念の持ち主以外は、素直に納

    アベノミクスは豹変できるか - 経済を良くするって、どうすれば
  • 見た目と異なる惨状・1-3月期GDP - 経済を良くするって、どうすれば

    GDP速報は、ただの項目別の数字の羅列である。だから、「消費が伸びた」、「設備投資もプラスに」と説明するにとどめるのが、正確を期すというものだろう。しかし、前期比0.6%の成長のうち、在庫の押し上げが0.5%もあるという異様さを前にして、ストーリー仕立てで理解を試みるのも許されるように思う。 1-3月期に何が起こったのかと言えば、まず、消費が、増税ショックからの緩慢なリバウンドを終えて、失速してしまい、積み上がった在庫を整理しているところだったから、これを大きく滞らせてしまった。売上げ減を受け、折からの原油安もあり、当然、値下げで対抗だ。こうなると、設備投資は抑制せざるを得ない。今、我々が目にしているものは、世評の「緩い回復の継続」ではなく、「異変発生」ではないのか。 ……… 1-3月期GDPにおける数字、すなわち、消費の名目値のマイナス、在庫の大幅な押し上げ、消費デフレーターの大幅な低下

    見た目と異なる惨状・1-3月期GDP - 経済を良くするって、どうすれば
  • 緊縮財政の愚行を雪ぐ道 - 経済を良くするって、どうすれば

    の経済運営にとっては「偉大な飛躍」かもしれないね。足元の税収を考慮して中長期の計画を練ることは、財政学の初歩でしかないが、これまでは、まったく出来ていなかったのだから。財政再建目標までの9.4兆円のギャップを埋めるのに、歳出削減は5~6兆円で十分と、経済財政諮問会議で民間議員が提言したことには、そういう意味がある。そうした事情も分からず、日経は「もっと痛みを」みたいな社説を掲げていて、なんとも情けないものがある。 ……… 編集委員の滝田洋一さんが指摘するように、足元では国の税収に大幅な上ブレが生じている。これは、消費増税によって、消費は低迷したものの、円安・株高・原油安を背景に、企業収益が好調に推移したことによる。上ブレの着地点を見極めるには、あと半月ほど待たねばならないが、現時点で1.9兆円程と予測できる。 国の税収が上ブレすれば、地方も同様である。地方の税収は、規模が国の7割強であ

    緊縮財政の愚行を雪ぐ道 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 5/12の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    昔懐かしいエンゲル係数は、いかがだったかな。実は、説明が煩雑になるので省いたけれども、1989年の前年比は-0.1、1990年は+0.0であり、この前後の年の様相からすると、停滞感が強い。つまり、過去に行われた3度の消費増税は、いずれもエンゲル係数に大きく悪影響を与えてきたということだ。消費増税は、国民生活を苦しくするのに異様な力を持っており、しかも、成長力が衰えてきたせいか、後になるほど酷くなっているように見える。 そんな消費税だが、安倍首相が解散で10%への先送りを決めていなければ、10月には4度目の打撃を受けていたところだ。1-3月期の成長が再失速し、米中の景気が薄曇りになる中での実施になったのだから、危ないところだった。無謀を回避した功績は大きいよ。この国は、「進むも退くも地獄」などと意味不明なセリフを叫びつつ、バンザイ突撃をするものと、筆者は予想していたからね。外れてホント良かっ

    5/12の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 貧しくなった日本と政策 - 経済を良くするって、どうすれば

    一昔前までは、エンゲル係数なんて、大して注目される指標ではなかった。年々、経済成長によって豊かになることが当たり前であり、家計調査で見るそれは、単調に低下していくだけの面白味のない数字に過ぎなかった。ところが、1997年以降は変わった。日は、かつてより豊かになれなくなり、貧しさが募るようになったのである。 ……… エンゲル係数とは、消費支出に占める料費の割合である。1990年以降の動向を、家計調査(2人以上世帯)で示すと、下図のとおりである。異変が起こったのは、消費増税が行われた1997年だった。1974年のオイルショック以来、23年ぶりの明確な上昇を記録し、翌年も続けて悪化した。その後、景気の回復に伴い、いったんは低下を見せたものの、2005年を境として、上昇傾向へと転じた。 エンゲル係数の上昇は、べるために、より多くのお金を割かねばならなくなったことを表し、要するに、国民の生活が

    貧しくなった日本と政策 - 経済を良くするって、どうすれば
  • エコノミストの心意気 - 経済を良くするって、どうすれば

    エコノミストは演奏家のようなところがある。経済データという譜面に従って奏でなければならないが、曲の解釈がとても大事である。「あなたは、どう弾きたい?」というのが問われるのだ。演奏家と同様、これを明瞭にイメージできるかが、非凡と平凡を分かつように思える。 ……… 2月鉱工業生産について、第一生命の新家義貴さんの分析は、「ネガティブサプライズ、内容も悪い」(3/30)と小気味良かった。反動減は予想されていたし、データ的には、「前月と均せば、緩やかに回復」としてもおかしくないのに、評価は鮮明だ。筆者なんぞは、「悪い数字が出たなぁ」と思いつつも、気力が薄れかかっていて、ビビットに反応できなかったよ。 新家さんは、高めの成長イメージを持ち、そこにデータを位置づけるから、反応できたと思う。新家さんが予測力に優れているのは、潮目を読もうと努力しているからだろう。それには、経済がどういう方向に進んでいるか

    エコノミストの心意気 - 経済を良くするって、どうすれば
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2015/04/06
    年度成長率が-1%に転落するのも当然だ。
  • 公的年金は1.6兆円の緊縮財政 - 経済を良くするって、どうすれば

    年明けに予算案が国会に提出されても、大きく報じられたりはしない。年末の予算編成の際に概要が明らかになっていて、新たな内容は少ないからである。しかし、一つ重要な情報が含まれている。これで緊縮の度合いが確定するのだ。2015年度の年金の特別会計の緊縮は1.6兆円であった。前年度補正0.8兆円、国の一般会計4.4兆円、地方財政1.2兆円と合わせ、8.0兆円となり、前年の3%消費増税に匹敵し、原油安メリットを丸ごと吹っ飛ばす規模に及ぶことが判明した。 ……… 経済運営は、国、地方、社会保険の三部門すべてを見て行うのが基だ。全体的に管理しなければならないなんて、常識でも分かる話だが、日は、これがなっていない。財政再建の議論のベースになっている『中長期の経済財政に関する試算』に、社会保険が含まれていない一事をもっても、明らかであろう。 この弊害は甚大だ。日は、1997年に消費増税を中心とする過激

    公的年金は1.6兆円の緊縮財政 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 相当に悪い10-12月期GDP - 経済を良くするって、どうすれば

    2/1に「10-12月期GDPは3%を割るかもしれない」としていたが、心配していたとおりになったね。鉱工業生産の消費財出荷が前期比でマイナスであることを踏まえると、需要側統計が強くても慎重にならざるを得ないと思っていたら、案の定だ。直前に出た消費総合指数の前期比+0.8は何だったのだろう。 民間消費の前期比の伸びは、7-9月期と同じ+0.3%しかない。2012-13年の平均は0.5%超であったから、消費増税によって屈曲したかもしれない。せっかく、アベノミクスで登り調子だったのに、何てことをしてくれたのか。他方、法人減税で期待の大きかった設備投資は、原系列の前年比を見ると、2.6%、1.6%、0.5%と低下の一途をたどっている。 内需の寄与度は0.3に過ぎず、しかも、在庫増が0.2を占める。つまり、成長力は極めて弱いのに、多かった在庫が更に増しており、次の1-3月期GDPを押し下げる可能性が

    相当に悪い10-12月期GDP - 経済を良くするって、どうすれば