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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (99)

  • 中長期の経済財政試算の正しい読み方 - 経済を良くするって、どうすれば

    普通、「中期」と言えば5年を指し、「長期」なら10年を意味する。ところが、2/12に公表された『中長期の経済財政に関する試算』は、8年後の2023年度で途切れている。形式主義のお役所が半端なことをするには、何かウラがあると疑わなくてはならない。実は、試算を2025年度まで2年分延長すると、基礎的財政収支の赤字をゼロにする目標を、自然体で達成できることがあからさまになってしまうのだ。どうも、このことを隠したかったようである。 ……… 政府試算を、トレンドに従い、2年分延長すると、下図の黄線のようになる。人間とは不思議なもので、こう描くと、2020年度にゼロを達成できないことより、2025年度に目標に到達していることの方へ、目が向いてしまう。ここから得られる認識は、「13%への消費増税が必要だ」であったものが、「自然体でも構わないんだ」へ180度変わることになる。 いずれ、税収の上ブレで、こう

    中長期の経済財政試算の正しい読み方 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 物理的実態としての確率分布 - 経済を良くするって、どうすれば

    指数分布やべき分布が観測される社会的実例が載っているだけで、筆者にとっては十分に魅力的だったが、矢野和男著の『データの見えざる手』は、なかなか興味深く、未来も感じさせる内容で、楽しく読ませてもらった。日の愚劣な経済運営を論じていて、嫌気が差して来たところだったので、知的関心を呼び覚ます、一服の清涼剤であった。 ……… ケインズ経済学質は、投資リスクへの理解にあり、そのリスクは指数分布やべき分布をしているので、持ち時間が有限である人間は、期待値に従った「合理的」な行動を取ることができない。これが投資不足で生じる不況の原因であって、その解決には、不合理なリスク回避を癒すよう、需要を政策で安定させれば良い。以上が「どうすれば解釈」である。 こうした観点からすれば、コラムが、一気の消費増税を難じ、流行の法人減税を冷やかすのは、当然であろう。もっとも、増税による実質賃金の低下で、消費不振に陥

    物理的実態としての確率分布 - 経済を良くするって、どうすれば
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2014/09/22
    これが投資不足で生じる不況の原因であって、その解決には、不合理なリスク回避を癒すよう、需要を政策で安定させれば良い。以上が「どうすれば解釈」である。
  • 家計消費は戦後最大級の落ち込み - 経済を良くするって、どうすれば

    いや、激烈な結果だったね。4-6月期のGDP速報の結果は、家計消費が-5.2%(年率-19.2%)にもなった。しかも、「除く帰属家賃」だと-6.2%に広がる。そのため、在庫が急増し、これが成長を支えることとなった。実質成長率は年率-6.8だが、もし、在庫増が1-3月期の駆け込みでの減少を復元する程度だったら、-8.8%まで行っていただろう。 消費の落ち込みは、1997年の前回の消費増税の時を上回り、比較可能な1994年以降で最大のもので、リーマン・ショックや東日大震災も超える。思い起こせば、基準は異なるが、オイルショックで狂乱物価があった1974年1-3月期が-5.7%であったから、これに匹敵する、40年ぶり、戦後最大級のショックである。これを人為的に起こしてしまったわけで、相当に深刻な事態だ。 他方、今日の日経の一面トップは「景気は緩やか回復続く」だが、民間調査機関の見通しは、7-9月

    家計消費は戦後最大級の落ち込み - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・消費が死んだ もう立てない - 経済を良くするって、どうすれば

    今回の家計調査の結果で判明したのは、消費の惨憺たる状況だった。これは反動減の大きさを言っているのではない。消費増税によって、勤労者世帯の実質実収入の低下が前期比で-4.0にも達し、消費は今年度内に駆け込み前の水準には戻らないことが確定的になったのである。今年度はマイナス成長を覚悟しなければならない。残念ではあるが、もうアベノミクスは立ち直れまい。 ……… 現在の消費の落ち込みが反動減に過ぎず、これから戻って来るか否かは、消費性向を見れば分かる。分母の収入は安定しているので、駆け込みで分子の消費が伸びると消費性向は上がり、反動減で下がり、結局は元へ戻る。実際、10-12月期に75.1だった消費性向は、1-3月期に79.0になり、4-6月期には73.1になった。だから、あと2.0ポイントくらいは、消費の戻りが期待できる。 問題は、この半年間に、勤労者世帯の実質実収入が-4.0も落ちていることだ

    アベノミクス・消費が死んだ もう立てない - 経済を良くするって、どうすれば
  • 7/29の日経+追記 - 経済を良くするって、どうすれば

    「中長期試算」の分析はいかがだったかな。実は、論考に書いていない部分にかなり時間を使った。それは、いわば、内閣府がどのように税収を試算しているかの「リバース・エンジリアニング」だ。当は、それを公開してほしいのだけどね。ほとんどの人は、チンプンカンプンだろうけど、筆者の想定も記しておくよ。 ……… まず、今夏と冬の試算の税収を比較し、2015~17年度の税収の上ブレが各々0.2、0.3、0.5兆円にとどまることを確かめ、この間に出てきた情報である2013年度の税収上ブレ1.6兆円に比して小さいことから、ベースを上げていないだろうと判断した。 次に、2015~17年度の税収に関しては、消費増税について、1%で2.7兆円の増収となり、うち69%が国の税収として一般会計に計上されるとの前提で、3%増税分は、2013年度に4.5兆円増、2014年度に残り1.1兆円増を計上した。2%増税分は、201

    7/29の日経+追記 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 財政の中長期試算のごまかし - 経済を良くするって、どうすれば

    この国の経済財政の運営は、これが基礎になるわけかい。企業の場合、事業計画は、足元の数字を固めた上で、現勢なら目標をいつまでに達成できるか確かめる。これは基中の基だろう。足元がいいかげんで、黒字化の時期が不明という計画書を持って来ようものなら、そんな事業部長は無能の烙印を押される。7/25公表の「中長期の経済財政に関する試算」は、これに類するものとしか思えなかった。 ……… コラムは、「中長期試算」について、これまでも、かなり厳しい評価をしてきた。それは、経済財政を運営する上で、極めて基礎的かつ最重要の資料であり、その改善が日経済の復活に必須と考えるからである。まあ、「愛の鞭」だね。そのせいか、今回は、一点だけ改善がなされている。それは、係数表に(注1)が追加されたことで、「国の一般会計の姿のうち、2013年度は決算に、2014年度は当初予算による」とある。 昨夏の「中長期試算」では

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  • 6/23の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の経済教室のような「世代間の不公平論」は、いつまで続くのかな。不公平は、世代ごとの負担と給付の差でなく、少子化の大小で生じていることに気づくのはいつの日か。これに気づかなければ、おざなりの政策がいつまでも続くことになる。 小林先生は、「掛け捨てと積立を組み合わせた年金なら」と言われるが、子供を持たなかった人には、給付をしないか、2倍の負担を強いて積み立てさせるかすれば、「不公平」がすべて解消されることを分かっているのだろうか。それをしないで、世代のみんなで負担をしているから、世代という範囲で「損」が生じているように見えるだけである。 少子化質は、人的資源への投資不足である。人間の再生産に必要な資金配分を日がしていないということだ。今日の日経にある内部留保うんぬんで明らかなように、企業は人間の再生産に必要な資金さえ家計から吸い上げる形になっている。現世代の家計が余計に消費してインフ

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  • 人間に絶滅する自由はあるのか - 経済を良くするって、どうすれば

    今の若い人たちはどうか知らないが、筆者が若い頃は、「人間には自殺する自由があるのか」なんてことを哲学したものである。「他人に迷惑をかけない限り、生きるも死ぬも人の勝手」という主張を理屈で覆すのは、なかなか難しい。小塩隆士先生の新著『持続可能な社会保障へ』を読みつつ、思い起こしたのは、そんな昔のことだった。 ……… 新著の内容は、現行の社会保障制度は、世代間の不公平が大きく、規模を縮小する必要があるとするもの。とは言え、具体策は穏当で、①公的年金控除の廃止、②年金のマクロ経済スライドの徹底実施、③年金支給開始年齢の引き上げ、④被用者保険の適用拡大、⑤基礎年金財源への税負担増、⑥子どもの貧困の解消となっている。これらには、筆者も、③を除いて、基的に賛成だし、制度設計も示している。(基内容を参照) 特徴的なのは、具体策の中に、この手の議論では定番の「少子化対策」が入っていないことだろう。そ

    人間に絶滅する自由はあるのか - 経済を良くするって、どうすれば
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2014/06/16
    少子化に責任のある人、すなわち、子供を持たない人には、社会保障給付を行わなければ良いだけだからだ。
  • 1-3月期の実態はゼロ成長の日本 - 経済を良くするって、どうすれば

    金曜日に公表された3月の家計調査の結果は、実質の前年同月比が39年ぶり伸びという記録的な増加となった。むろん、消費増税の駆け込み需要という特殊要因によるもので、これにより、1-3月期のGDPは4.6%にもなるという民間調査機関の予測も出ているところだ。しかし、特殊要因を除いた実態は、ゼロ成長であることを見逃してはなるまい。そこに消費税3%がのしかかることになる。 ……… 勤労者世帯の実質消費の季節調整済指数は、前月の99.7から111.8に跳ね上がり、消費性向も、高めだった前月の75.9から85.1へと異常な上昇を示した。当然、こうした消費性向が持続することはないから、今後の消費を占うには、裏づけとなる収入を見る必要がある。その実質実収入は、3月は前月より低下するありさまで、1-3月期の平均99.0を前期と比較すると、-0.0である。 基的に、収入と消費はパラレルに動くものなので、駆け込

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  • リスクが従う二つの分布 - 経済を良くするって、どうすれば

    ガラス板を破壊すると、破片は幾つかの大きなものと無数の粉々のものになり、その構成がべき分布になるというのは、よく知られていて、べき分布の典型例として挙げられることも多い。ところが、それは高いエネルギーで破壊すると、そうなるのであって、低いエネルギーであると、対数正規分布になるそうである。 また、べき分布と対数正規分布は、裾野の部分を除いて似通っており、裾野も分散が大きくなると、べき分布に近似して、見分けがつかないようになるらしい。対数正規分布をべき分布にするには、対数正規分布の基となる乗算過程(変化量が現在量に比例する)に、増幅する作用をもつ項を加えることで可能になるようだ。どうも、べき分布と対数正規分布は「地続き」であり、これは経済のリスクを考える上でも非常に興味深い。 ……… 有名な話だが、オプション価格を算出するブラック・ショールズ方程式では、株価変動の分散が対数正規分布に従うことを

    リスクが従う二つの分布 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 厚生年金は景気を助けるのか - 経済を良くするって、どうすれば

    先週金曜に政府予算案が提出され、「予算の説明」がオープンになったので、ようやく、年金特別会計の様子が分かるようになった。その大半を占める厚生年金勘定を見ると、前年度比で約5000億円の「拡張財政」になっている。特例水準の解消で、給付が去年10月と今年4月に合わせて2%カットされることを考えると、少し意外な内容だ。 まず、歳入を見てみると、保険料収入、一般会計(税)受入、基礎年金受入の三計は、35.0兆円で3.0%増である。経済成長に加え、保険料は、毎年約2%ずつ引き上げられているし、被保険者数も、事業月報で見ると足元で1.1%増(10月)なので、概ね妥当なところだろう。他方、歳出は、給付費と基礎年金繰入の二計で40.9兆円であり、3.8%増である。足元の受給者増が2.8%(10月)であり、特例水準のカットがあることを踏まえると、高めに思われる。物価スライドが未定なので、4月のカットが反映さ

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  • 12/11の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の経済教室は、アトランタ連銀のブラウンさん。連銀でも日財政をウォッチしているメンバーがいるんだね。まあ、当然のことではあるが、認識を新たにしたよ。ただ、内容的には、意味があるようには思えないな。 日国債のGDP比は大きいが、ほとんどが国内で消化されている点が他国とはまったく違う。したがって、物価上昇率に合わせた消費増税の仕組みでインフレリスクを除去するとともに、利子課税と法人税率を強化・維持することで金利上昇時には利払いを上回る税収が得られるようにして利払いリスクをなくしておけば良い。そして、相続税を強化し、国債の実質的保有者である高齢者が亡くなった時に回収するようにする。これで十分なはずだ。 財政再建は、経済成長がなければ、絶対に達成できない。歳出削減や消費増税の計画を立ててしまうと、成長の範囲内で負担増を求めることが非常に難しくなる。金利が効果を持たないデフレ経済では、負担増の

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  • 少子化のインセンティブ - 経済を良くするって、どうすれば

    社会保障制度が整えられ、老後の不安が薄れたことが、子供を持とうとする意欲を低下させ、少子化を進めてしまったのではないか。そうした疑問は、誰しも抱くものだ。しかも、少子化は、支え手を減らして社会保障制度を掘り崩しかねないから、それを防ぐために、どうすべきかは、重要な問題となる。 これに数理的な分析を加えたのが、先頃、日経・経済図書文化賞を受賞した、山重慎二著「家族と社会の経済分析―日社会の変容と政策的対応」である。このの評価は、改めてするまでもない。賞のHPで松井彰彦先生が述べるとおり、「言葉や印象論で語られることが多かった壮大なピクチャーを緻密な理論で語った意義は大きい」というものだろう。 私も、大変、楽しませてもらったが、残念ながら、子供を持たないで済まそうとするインセンティブの大きさ、それは、すなわち、少子化を防ぐために必要な施策の大きさを示すことになるが、そこまでは書かれていない

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  • 経済思想が変わるとき 6 - 経済を良くするって、どうすれば

    コラムと同様、クルーグマンも、スティグリッツも、このタイミングでの日の消費増税には否定的だし、それを法人減税で補えるとは思っていないようだ。(10/21現代ビジネス、11/7NHKニュース) こうした彼らの見方は、政策の総合性の観点からなされるもので、いわば、足を引っ張りそうな政策を「混ぜる」ことはあるまいというところだ。現在の経済学でも、これくらいの判断はできる。 むろん、コラムは、もっと先鋭的である。需要を抜いて不安を与えたら、金融緩和も、構造改革も、意味がないとするわけだから。経営者は、需要に不安を感じたら、機会利益を得る合理的な行動はできず、設備投資を控えてしまう。失敗と成功を繰り返せるだけの時間を持たない以上、投資収益の期待値には従えないのである。需要を保ち、不安を与えないことは、政策の中で決定的に重要なのだ。 ……… エコノミストなら、皆、そうだと思うが、筆者は長期のGD

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  • 日本国債のパラドックス - 経済を良くするって、どうすれば

    深刻な不況の中では、将来への不安があるから、設備投資を控えてしまう。それによって、資金は溢れ、失業は増す。当事者たる経営者にとって、こうした説明は、ごく当たり前のものとして受け取られる。処方箋も、「売上が底入れしないと、とても設備や人は増やせない」という声を素直に聞けば、需要を保つ政策の重要性が分かる。 しかし、経済学者は、これを理解するのに難渋している。「人は利益を最大化するよう行動する」ことを理論の大前提とするがゆえに、これを体現する「金利に従う行動」が一向に取られず、これに反する「需要に従う行動」が出て来る矛盾に悩まされる。向井文雄先生の「日国債のパラドックスと財政出動の経済学」は、こうした状況を活写する好著である。 ……… まず、第1部において、リーマン・ショック後の大胆な金融緩和政策が思うような成果を上げられなかったことを指摘し、アメリカの大恐慌や日の昭和恐慌、そして、現在の

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  • 税収の弾性値を巡る議論 - 経済を良くするって、どうすれば

    の経済論議の二大悪癖は、歳出の当初と補正を連結して前年度と比較しないことと、税収の当局の見積りを鵜呑みにして点検しないことだ。要するに、まともな経済運営の議論のレベルに達していないということだね。国際的に見たらお恥ずかしい限りだが、これが現実だ。それでも、最近、税収の弾力値の大きさを巡って議論がされるようになったのは、一歩前進である。それを紹介しているのが、今日の「エコノフォーカス」だ。 まず、押えておきたいのは、税収の弾性値では短期的な税収は計れないということだ。当たり前だが、弾力値を出すのに10年分なりのサンプルを使うなら、それは長期的な傾向を示すものにしかならない。したがって、財政当局は、景気回復で短期的に税収が伸びそうなときに、税収を低く見せようと好んで持ち出すことになる。税収の弾力値について議論すること自体が当局の土俵に乗るようなものである。 景気回復期に税収が急増するのは法

    税収の弾性値を巡る議論 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 財政の最新動向を把握する - 経済を良くするって、どうすれば

    上場企業の経常益は41.6%増か。ありがたいことだ。円安で潤う製造業だけでなく、非製造業も26.2%増益というのも、良い知らせである。正直、アベノミクスが始まり、補正予算を決定した頃は、ここまで来れるとは思わなかった。経済が上向けば、多くの問題の出口が見えてくる。その筆頭は財政だ。最新の動向を的確に把握し、道を誤らぬようにしたい。 ……… 財政の基は、「入るを計る」ことだが、日の財政当局は税収の過少見積りが得意である。今年度予算の税収額は43.1兆円だが、順調に成長しているのに、昨年度決算額より8000億円も少ない。つまり、企業収益が増すだけ、これに上乗せして税収は増えることになる。筆者が推計では、税収は47.9兆円に達し、4.8兆円上ブレすると予想している。 煩瑣だが、推計方法を記しておくと、法人税は25%増、所得税はその1/3の伸びの8.3%増、消費税は実質成長率2.8%の1.25

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  • 財政の最新動向を把握する 3 - 経済を良くするって、どうすれば

    (前回からの続き) 歳出の抑制と言うと、いつも、やり玉に挙げられるのは社会保障だが、これから最も重要になるのは、地方交付税交付金の削減である。交付税は2007年度から4年で2.2兆円も拡大した。これは、地方がムダ使いをしているわけではなくて、リーマン・ショック以降、地方税が大きく落ち込み、それを補填せざるを得なかったためだ。 現在、アベノミクスによって、法人税を中心に国の税収が急増している。それは地方税にも言えることである。地方税が増えれば、交付税の補填を減らせるのだから、国の歳出を削ることができる。それは、痛みを伴う社会保障の抑制より、遥かに容易なことだ。もっとも、地方についても、高齢化に伴う歳出の自然増は認める必要はあるにしても。 それでは、地方税はどのくらい増えるのか。大まかな計算だが、今年度は、当初の地方財政計画を7000億円ほど上回るのではないかと見ている。また、このまま好調に推

    財政の最新動向を把握する 3 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 新たな経済見通しと1996,97年の落差 - 経済を良くするって、どうすれば

    政府の経済見通しは、実質成長率が2013年度の2.8%から、消費増税の2014年度には1.0%に落ちるというものだ。予想どおり、強気だね。第一生命は2.9%から0.4%だし、ニッセイは2.6%から0.0%だから、随分、落差が少ない。消費増税はGDP比で1.5%も家計所得を抜くわけだから、所得が減ってもあまり消費は減らないと想定したのではないか。 日経によれば、消費増税のほか、10兆円超の緊急経済対策の効果が弱まる影響と、年金支給額の引き下げも勘案したようだから、これは評価できる。しかし、これらの大きさは、GDP比で前者は1.0%、後者は0.2%くらいだから、下押し圧力は消費増税と合わせると2.7%にもなる。それなのに、政府の見通しは1.8%しか落ちない。筆者には、第一生命やニッセイの見通しが現実的に思えるが、いかがだろうか。 ところで、前回の消費増税の際はどうだったか。成長率は、1996年

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  • 前例踏襲における傲岸と無能 - 経済を良くするって、どうすれば

    反省のないところに進歩はない。日の財政当局は失敗を認めない人たちなので、同じ過ちを繰り返す。既存予算を一律10%カットにしておいて、特別枠だの補正予算だので無闇な歳出を許してきた。そんな戦略の下、法務省は刑務所の職業訓練用の重機を復興予算で買い、趣旨から外れる使い方だと世間から批判を受けた。それでは、どうやって必要な機材を用意するのか、受刑者をただ閉じ込めておけば良いのか。 ダメな戦略は戦術でカバーしきれない。戦略を立てた偉い人たちは責任を問われることもなく、泣きを見るのはいつも現場だ。まあ、どこにでもある風景ではあるが、リーダーがどれだけ自省できるかで組織の盛衰は決まる。失敗を認めないにしても、修正しようとする動きがあるなら、まだ評価もできよう。それがないと、傲岸なだけでなく、無能なのかと思えてしまう。 ……… 今日の日経によれば、2014年度の概算要求基準は、昨年の前例を踏襲するよう

    前例踏襲における傲岸と無能 - 経済を良くするって、どうすれば