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ブックマーク / newsweekjapan.jp (4)

  • さらに大き過ぎて潰せなくなる銀行

    黄色は進め? 6月25日に上下両院が合意した金融規制改革法案では危機の再発を防げない Lucas Jackson-Reuters 6月25日の早朝、アメリカの上下両院は金融規制改革法案の一化で合意した。バラク・オバマ大統領はこの日、同法案を「大恐慌以来最も厳しい金融改革」と称賛した。 確かにこの法案には、07〜09年の金融危機を招いた問題点を改めるために、さまざまな措置が盛り込まれている。デリバティブ(金融派生商品)取引の透明化、銀行およびクレジットカード会社、住宅ローン会社に対する強力な監視機関の創設、経営難の金融機関を政府が清算するための新しい手段の導入などは、効果がありそうだ。 しかしある面で、今回の法案は、大恐慌直後の1933年に制定されたグラス・スティーガル法に及ばない。銀行と証券の分離などを定めたグラス・スティーガル法は、金融システムの構造と金融機関の形態を大きく様変わりさせ

  • 200年間縮んだ中国

    「世界経済の成長史1820-1992年」という題名を聞いて、このを買いたくなるのは専門家かよほどの物好きだろう。しかしこれが、なかなか面白そうなのだ。著者アンガス・マディソンはOECD(経済開発協力機構)のエコノミスト。4月に83歳で亡くなったので、ある経済学者がその功績を少し話してくれた。 イギリス人のマディソンは、過去のGDP(国内総生産)推計だけに生涯を捧げた学者だったという。世界各国の経済規模と人口を追って、なんとキリストの時代まで遡ってしまった(「経済統計で見る世界経済2000年史」)。を読んでいないので推測だが、経済統計の作成もここまでいくと『ダビンチ・コード』以上の博識と推理が求められたに違いなく、ロマンに満ちた研究だったのだろう。 マディソンに2000年も時を遡らせたのは、ローマ帝国の1人当たりGDPはいくらだったかという純粋な知的好奇心の他、豊かな国と貧しい国の歴史

  • 企業を脅かす年金債務の重荷

    NTTグループの年金をめぐる訴訟で、最高裁はNTT側の上告を退けた。NTT退職者の85%の同意を得て、企業年金を確定給付から確定拠出に移行する減額変更を決定したが、厚労省は「経営状態の著しい悪化とは認められない」として申請を退けた。これに対してNTTが処分の取り消しを求めて訴えていたものだが、これでNTTの敗訴が確定した。 NTTの年金債務は、2009年3月期の有価証券報告書によれば1兆1760億円で、これは資金の125%である。厚労省は「NTT東日・西日は年1000億円前後の利益を継続的に計上しており、経営が悪化したとは到底認められない」とし、裁判所もこの処分を追認したが、この「隠れ債務」をすべてバランスシートに計上したら、12年分の利益が吹っ飛ぶ。 これはNTTだけの問題ではない。日経済新聞の集計(2009年3月)によれば、主要上場企業の年金・退職金の積立不足は総額約13兆円

    企業を脅かす年金債務の重荷
  • ネオコンに成り下がったクルーグマン

    ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンは、どうやら新保守主義者(ネオコン)と運命を共にするらしい。厄介な国際問題に直面すると国際機関の役割を軽視し、けんか腰の単独主義を取りたがるあのネオコンだ。 14日付けのニューヨークタイムズ紙に掲載されたクルーグマンのコラムは、またも中国の為替操作に関するものだった。世界経済における中国の影響力は一般に思われているよりも小さいと述べたうえで、コラムをこう締めくくっている。 1971年にアメリカが同様の(今の中国ほどひどくはないが)ドル高に直面したときは、外国からの輸入品に10%の輸入課徴金を賦課して対応した。この課徴金は、ドイツや日などの国々が対ドル為替レートを切り上げる通貨調整を実施したことで数カ月後に撤廃された。現時点で、同様の通貨調整を受ける脅威がなければ中国が通貨政策を変えることは考えにくい。ただし今回の場合、課徴金は25%程度になるだろう

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