阪神・淡路大震災がきっかけとなって生まれた阪神電車の6両編成がある。「8523」という編成で、編成の前と後ろで車体の「顔」のデザインが違う。同じ系統の車両をつなげているのに「顔」が違うのは、同社ではこの編成のみという「異端児」だ。ほとんど知られることなく、乗客を乗せ続けてきた。28年前の大震災のとき、車両たちに何があったのか。 1995年1月17日早朝。突き上げるような大きな揺れが街を襲った。神戸市内の高速道路や鉄道など公共交通インフラは甚大な被害を受けた。神戸市東灘区にある阪神電車の石屋川車庫も、その被害の例外ではなかった。 「石屋川車庫が落ちた」 車庫に宿直勤務していた担当者からの報告を受け、当時、車両の点検整備などの部署に所属していた阪神電車車両部車両課の岡本正史課長補佐(60)は翌18日、被害状況を確認しに向かった。 「がくぜんとして立ち尽くしました」 車庫は、68年に造られた日本
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