9月28日の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が準備を進めているとみられる国債買い入れ増額という追加緩和策について、2009年3~10月に総額3000億ドルで実施したのとは異なる「新しい戦術(new tactics)」が徐々に支持を得ていると報じた。 最初に期限を決めて巨額の買い入れをアナウンスする「衝撃と畏怖(shock and awe)」のアプローチではなく、終了期限を定めずに、より小規模の国債買い入れプログラムを一定の期間内に実行した上で、その間の各種経済データの改善度合いをにらみながら、プログラムをそのまま継続するか、それとも減額・打ち切りなど何らかの調整を加えるかを決めていくというスタイルである。これには、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を運営する上で、より多くの柔軟性を有することができるというメリットがある。 今年のFOMC投票権メンバー
1987年の映画「ウォール街」で、投資銀行家のゴードン・ゲッコーが「強欲は美徳さ」と言い放った場面は有名だ。これこそ80年代末にジャンク債市場の崩壊と貯蓄金融機関(S&L)危機で幕を閉じた、企業と金融業界の“暴走の10年”を支配したメンタリティーであり、結局、ゲッコー自身は刑務所送りとなる。 米国で9月公開予定の『ウォール街2』では時代がひと巡りし、出所したゲッコーが金融業界に返り咲く。その再登板は、ちょうどサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)ブームに煽られた信用バブルが崩壊し、大恐慌以来の金融・経済危機が幕を開けようとする時期と一致する。 規制や監督では暴走は防げない 金融危機には“強欲は美徳”というメンタリティーが常につきまとう。だがサブプライムの悲劇を引き起こしたトレーダーらは、80年代のゲッコーたち以上に強欲で、傲慢で、倫理観に欠けていたのだろうか。そうではない。強欲
スペインが昨日からゼネストに入っています。 スペインのゼネストは8年ぶりで同国の鉄鋼、自動車産業を代表する労組をはじめ地方公務員の一部もストに入っていますが、いまのところ大きな混乱には至っていません。 スペイン政府は財政赤字の立て直しのため、現在、GDPの6%程度ある財政赤字を向こう2年で欧州連合の規定であるGDPの3%以内に削減する予算を既に発表しています。 しかし8月くらいから一度中断が決まった公共工事を復活させる動きも出ています。つまり既に発表した赤字削減案を反故にする動きが見え始めているのです。 その理由は現在、スペインの失業率は既に20%に達しており、しかもその多くが住宅などに関連する建設労働者だからです。 スペインの不動産市場は過剰投資・過剰投機が祟って凍死状態になっており、多くの物件が工事途中で放棄、若しくは完成しても空き家のままになっています。 ストの収拾がつかなくなれば、
やまざき・はじめ/1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務めた。2024年1月1日、永眠。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 「仕分け」対象大臣? 政権交代から約1年しか経っていないにもかかわらず、民主党政権への期待はすっかりしぼみつつある。これまでを振り返るまでもなく、ごく最近も
【今回のまとめ】 1.FRBがいちばん心配しているのは「デフレ・リスク」である 2.FRBは「量的緩和政策第2弾」をいつでも繰り出せる 3.さらなる量的緩和は「米ドル安政策」にほかならない 4.米ドル安となると、米国のハイテク株にもっとも恩恵がある デフレと戦う姿勢を打ち出したFRB 先週、現地時間9月14日(火)に公表されたFOMC(連邦公開市場委員会)の声明文を読むと、FRB(連邦準備制度理事会)が、今いちばん心配しているのは「デフレ・リスク」であることがわかります。 FRBは声明文の中で、「インフレ率が低すぎる」という表現を何度も繰り返していました。つまり、それはデフレ以外の何ものでもありません。 そこでFRBは、必要があれば次回、12月に行われるFOMCを待たずに、第2弾の量的緩和政策を実行に移すとほのめかしています。 FRBのこのような姿勢は、投資家にとって何を意味するの
(英エコノミスト誌 2010年9月25日号) 単一通貨を修復しようとする欧州連合(EU)の計画は、肝心な点を見失う危険がある。 少なくとも、ギリシャがデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に立たされていた今春のパニックはいくらか収まった。 ユーロ導入国の中で最も脆弱なギリシャとアイルランドはいまだに高い資金調達コストを払っているが、緊縮財政措置は実施されている。先日は、巨額のユーロ圏救済基金が切望されていたトリプルA格付けを獲得した。 というわけで、今はユーロの規則を見直す良い時期だ。欧州委員会は9月末、ヘルマン・ファンロンパイ欧州理事会議長(欧州連合=EU=大統領に相当)を長とするタスクフォースが協議の題材とする提案を発表する。残念ながら、一連の提案は、間違った標的を手当たり次第に攻撃し、より深刻な問題を見落としてしまう可能性がある。 欧州の単一通貨は決して大失敗ではなかった。物価の安定という
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