フォーサイト SOCIAL PROBLEM 小渕優子前少子化担当相(左)から事務引き継ぎを受ける福島瑞穂新担当相=2009年9月17日、東京・霞が関【時事】 学習院大学経済学部教授 鈴木 亘 Suzuki Wataru 〔一九七〇年生れ。上智大学経済学部卒。日本銀行勤務。大阪大学大学院博士後期課程単位取得退学(経済学博士)。大阪大学社会経済研究所、日本経済研究センター、東京学芸大学を経て、二〇〇九年四月より現職。規制改革会議専門委員(保育担当)。主著に『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、第五十一回日経・経済図書文化賞受賞)、近著に『だまされないための年金・医療・介護入門』(東洋経済新報社)がある。〕 (このコンテンツは9月19日発売のフォーサイト10月号に掲載されたものです) 認可保育所に入れない待機児童が急増している。保育業界の「既得権益の闇」にメスを入れなければ問題は解決でき
既得権益化する「ぬるま湯経営」 山梨県の保育園で行われた幼児対象のサッカー教室=2006年8月17日【時事】 さて、こうした保育所不足が続く中、利用者を選ぶために行なわれてきた行政手法は、いわば「配給制」である。まるで戦時中だ。それもそのはずで、わが国の保育制度を規定している「児童福祉法」は、終戦直後の一九四七年に制定された法律なのである。一部の改正はあったものの、制度の根幹は六十年間も変わっていない。 「配給制」の意味を説明しよう。児童福祉法での保育の位置づけは「福祉」である。児童福祉法によれば、本来は専業主婦の母親によって育てられるべき子供が就労等の特殊な事情によって育てられない場合、その「哀れな子供」を救済する福祉施設が保育所なのである。その象徴的な言葉が「保育に欠ける」子である。信じがたいことであるが、児童福祉法では、保育所にいる児童を「保育に欠ける」子と呼ぶ。母親が働くような「欠
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