メディアは分かりやすい報道を心がけていて、必ずしも法律用語の正確性にはこだわらないが、区別すべき点を区別しないために事実を報じる役に立たないばかりか、ミス・リーディングな場合もある。ときにより、記者やデスクの無理解が顕になることにもつながる。 例えば、先ごろ最高裁の判断が出たと報じられた携帯電話契約の二年縛りが消費者契約法9条等により無効となるかどうかが争われた事案、最高裁は上告を退けたのだが、その報道が各社によりマチマチだ。 (朝日) 最高裁は「条項は有効」とする判断を示した。第一小法廷(桜井龍子裁判長)が11日付の決定で、「条項の使用を差し止めるべきだ」と訴えた消費者団体側の上告を退けた。 (読売) 最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は11日付の決定で原告の消費者団体側の上告を退けた。 (毎日) 携帯電話2年縛り:解約金条項は適法 消費者側の上告棄却 携帯電話3社が設定する2年契約の割
フランスの新聞Le Figaroが伝えるところによると、カーディフで殺人を犯したとして終身刑に処せられていた男性の無実を、法律の学生が明らかにしたという。 つまり、イギリス・ウェールズのお話だ。 これはInnocence Projectという冤罪の可能性を研究するグループに属する学生によるもので、詳しいことは書かれていないが、有罪の決め手となった発砲の跡を再度鑑定させて、犯人とされたDwaine Georgeの無実の証明をしたというのだ。 すでに冤罪が裁判で認められて釈放されたが、Innocence Projectがカーディフで活動を始めて9年、初めての成果だとJulie Price先生は述べている。 日本の学生のサークル活動としてやるのも有用かも。 ちなみに、カーディフ大学は京都大学と交流があるようで、日本語の授業もあるようだ。
田母神俊雄氏が妻と離婚手続中に別の女性と交際しているという点がフライデーにより報じられ、田母神俊雄氏がサイト上で「フライデーの記事を読んで」という見解を表明している。 田母神氏を支持するものでは全くないが、選挙中に個人のプライバシーに属する事柄をことさらに公にするゴシップジャーナリズムには強く憤りを覚える。 確かに公人たるもの、私生活に立ち至って清潔であるべきという考え方はあり得るが、夫婦間のことはいろいろあって当然で、離婚したいと考えることが当然に悪いわけではないし、離婚を決意した段階で離婚が成立していない段階でも、別の人と交際することはあり得るわけだ。 それ以上に、妻に対して酷いことをしているかどうかは分からないので、そのようなプライバシーを公にするのには、より一層の慎重さが必要なはずだ。 それはともかく、田母神氏が自ら語るような経過で、法律婚が続いている間に他の人とカップルとなること
この大学には多くの知り合いがおり、貶めるようなことになるのは避けたいが、残念な結果である。 脅迫受けた大学 元記者を雇用しない考え伝える 大学の学長が警備などを念頭に人手や財政面の負担が大きいことなどを理由に、来年度は元記者を雇用しない考えを学内の会議で伝えていた このような形で脅迫に屈すれば、脅迫者たちの成功体験が次の脅迫を呼ぶことであろう。 そして、教員に対する萎縮効果も無視できない。 学問と言論の自由は、当然ながら、世間の反発を買うような内容の言動も含めて、その自由が保障される必要がある。もちろん内容面についての批判を受けることは甘受しなければならないのだが、それを超えて、辞職しろとか、自決しろとか、そのような脅迫を甘受する必要はないのであり、そのような脅迫は原則として取り締まりの対象となるべきである。 そして脅迫に対しては、大学は脅迫者に対する刑事告発や民事責任追及といった方法をも
本日櫻井コートのもう一つの判決は、生活保護受給者に実現不可能な増収を指示し、その不履行を理由に保護を打ち切った処分を違法としたもの。口頭で増収が無理なら事業用車を売れと言ったとしても、口頭では指示にならないとの理由。 最判平成26年10月23日(PDF判決全文) 上告人は手描き友禅の職人で、月収が平成8年段階で13万円しかなく、事業用自家用車の保有を認められつつ生活保護を受けた。 ところがその後、月収が2万円から6万円程度と低迷したので、車を売るか、月収をあげるかどちらかを迫られた。しかし、書面による指示は月額11万円(必要経費を除く)まで増収を命じるものだった。 その後、増収は叶わず、指示を履行しないとして生活保護の打ち切りとなった。 原審は、口頭で指導した内容、つまり自動車を売るか増収を図るか、いずれかをせよと言ったことが指示の内容になるとして、いずれも行わなかったのを不履行と認めたの
学生が持ってきた演習問題について、とても疑問がある。 事案は結構込み入っているが、私の疑問に関係するところに絞ると、株式会社AとBとで構成されるジョイントベンチャーYが、その業務執行組合員たるAの代表行為により、Cと売買契約を結んだ。ところがY はCに代金を払わない。そこで、CがY組合とAとBの三者に対して、売買代金を連帯して支払えとの訴えを提起したというのである。 Y組合に対する訴えは、もちろん民訴法29条が問題となるのだが、Y組合とその構成員AとBとを共に被告とすることには問題があるのではないか? Y組合の債務は、権利能力なき社団としてABに総有的に帰属するということになる(ここがまず問題で、民法668条は組合財産を組合員の共有としているし、組合の債権者は組合員に損失分担割合に従って、それを知らなければ頭割りで個人責任を追及できるのだから、権利能力なき社団と同じ総有・有限責任と扱うのは
痴漢冤罪に巻き込まれたら、つまり電車内などで女性から手を掴まれたりして「この人痴漢です」と言われたら、自分から証拠を集めて名誉毀損を主張しようということらしい。 もちろん痴漢をやってない人の話だが、下手に逃げれば罪を認めたようなものだし、場合によっては電車を止めたりして余計な責任を背負い込むことになる。 名刺を渡して静かに立ち去るというのも不十分だそうだ。 現場で、痴漢などしていなことをはっきり主張し、なお痴漢呼ばわりされたらその根拠を尋ね、根拠なく痴漢呼ばわりされたら名誉毀損で告訴するつもりであることを告げるというのだ。 そのやりとりや、現場の状況などはその場で写真・動画・録音で保全することとされている。 痴漢冤罪「名誉棄損で告訴すると伝えることが有効」と弁護士 名誉毀損もだが、虚偽告訴の罪というのもあって、結構重い。 (虚偽告訴等) 第百七十二条 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目
ドイツの新聞が朝日新聞誤報問題に始まる日本の状況をどう伝えているか、詳しく紹介された記事が「ドイツ語圏のメディアは朝日新聞誤報問題をどう伝えたか」である。 全く日本の名誉は地に落ちているが、それは朝日新聞のせいじゃなくて、過去の自国の行いを正当化しようと試みる露骨な歴史修正主義の存在だというのが見て取れる。 紹介されているのはフランクフルター・アルゲマイネの東京特派員、カールステン・ゲルミス記者の記事で、朝日新聞の吉田証言に基づく従軍慰安婦誤報問題の告白に続く日本社会の朝日新聞バッシングと、これに乗じた従軍慰安婦問題の正当化の動きがテーマである。 ドイツの閣僚が、のちに嘘だと判明した一つの証言のためにホロコーストそのものがなかったと主張することなど考えられるだろうか! まさにそれと同じことを日本の右翼、歴史修正主義者たちはしているのである。彼らは日本軍の関与を証明する記録はないと主張し、多
情けない話だと思う。 EU、日本に「人権条項」要求=侵害なら経済連携協定停止 EUとのEPAに付随する戦略的パートナーシップ協定(SPA)に、日本で人権侵害や民主主義に反する事態が起きた場合、EPAを停止できるとの「人権条項」を設けるようEUが主張しているとのことである。 EUが発展途上国て経済連携する際は、これを求めるが、アメリカとの関係では求めていなかったということから、日本政府は猛反発し、「いやいやおたくの国は十分人権保障されてるでしょうから心配いらないんじゃないですか、それにEUが人権侵害したらおたくの方から経済連携を止めることもできるわけで」と説得されている。 しかし、猛反発している日本政府が一番良くわかっていることだろう。「おたくの国は十分人権保障されてる」とは言いがたい状況にある。 上記記事の中には、死刑が人権侵害であるとして非難されていることが引き合いに出されているが、それ
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