7月初旬、経営再建の途中にあるドイツ銀行が、投資銀行部門を中心とした1万8000人という大規模なリストラを発表した。かつては「欧州最強」とうたわれ、リスクをとることに慎重だった名門銀行は、いかに変節し、この大きな転換点を迎えたのか。 米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、ドイツ銀行の事例をもとに、肥大し続ける金融機関と金融システムに警鐘を鳴らす。 「ふつうの銀行」に戻るため、1万8000人リストラ あなたが働くオフィスで、ある朝、2割の同僚が突然解雇を言い渡される場面を想像していただきたい。 ドイツ銀行がフルタイム従業員の2割超に相当する1万8000人の解雇を発表した先月初め、ロンドンでもニューヨークでも香港でも、にわかに解雇を告げられた人々が慌ただしく同僚に別れを告げ、次々とオフィスを後にした。 ドアから出てくる人の中には、