負動産時代 人口は増え、不動産は価値を持ち続けるという「土地神話」を前提とした日本の土地制度が曲がり角を迎えている。地方や都市郊外を中心に、資産価値を失って処分に困る「負動産」が広がる中、国も対策に乗り出しているものの、課題は山積みだ。土地制度をめぐり対応を迫られている課題や見直しの動きを考える。 いらなくなった土地を国に引き取ってもらおうと、国を相手に裁判を起こした男性がいる。 民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)との規定がある。だが、どんな場合に国庫に帰属するかという基準はずっとあいまいだった。「土地は捨てられるか否か」が直接争われた珍しい裁判となった。 訴えを起こしたのは鳥取県米子市の司法書士・鹿島康裕さん(41)。2014年、島根県安来市の山林約2万3千平方メートルを父親から生前贈与された。その3週間後、鹿島さんは山林の所有権を「放棄する」とし、所有者のい
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