今日、新たな扉が開いた。 これまであまり踏み入れたことがない世界への。 『器』である。 兄から、小包が届いた。 少し遅くなったが、誕生日のプレゼントらしい。 それが上の器である。 松原竜馬さんという作家の『粉引6寸リム鉢』というものらしい。 まずはこの器が送られた経緯から。 昨年の夏に帰省した際に、兄の家で昼ご飯を食べていた。 その日のメニューはシンプルな汁なしのうどんだった。 味付けが好みだったこともあるのだが、妙に美味しいなと思っていた。 そこで気付いたことが、器の良さである。 うどん うどんとネギだけ。 白と緑しかないこの料理がこんなに映えて見えるのは、器の力に他ならない。 「この皿なんかかっこいいね」 ソファでくつろぐ兄に、僕は何気なく言った。 時は過ぎて今年の夏。 やることのなかった僕は断捨離に精を出していた。 部屋がどんどんきれいになっていくのは気持ちがいい。 部屋の掃除、クロ