安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げを2年半再延期すると提案したのは、景気下振れにつながる増税を先送りしながら、財政健全化目標を堅持する姿勢も示す狙いがありそうだ。増税が2度にわたり延期されれば、政府の財政規律に疑問符が付くのは必至。日本経済の長期低迷の背景には、政府の成長戦略の遅れもあり、アベノミクスへの批判も強まりそうだ。 政府は、政策経費を借金に頼らずにどの程度賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を、2020年度に黒字化する目標を掲げている。増税の遅れは目標の後退につながるが、「19年度中に増税するなら、増税効果がフルに表れる20年度のPB黒字化目標は取り下げる必要はない」(財務省幹部)。首相も財政健全化計画への懸念を払拭(ふっしょく)しようと、ギリギリの線を示したと見られる。 ただ、首相は前回の増税延期を決めた際、「(17年4月の増税は)リーマン・