まずは感じるところから始めましょう とにかく書は難しい!と思われがちですが、実はそうでもありません。そこに表された文字の“書きぶり”を辿ってみることが大切なのです。紙に(主に)墨によって刻まれた文字=書には、それを書いた人の思いや考え、さらにはその時点での精神状態までもが表されているのです。今回は、歴史上にその名を刻んだ名書中の名書を通じてアートとしての「書」の楽しみ方をご紹介します。(- 2014年和樂5月号)- まずは一字を楽しんでみましょう 書についてはあまりくわしくないけれども、王羲之(おうぎし)の名くらいは聞いたことがあるという人は多いでしょう。王羲之は4世紀、中国の六朝(りくちょう)時代に生きた人物で、東晋(とうしん)という王朝で重きをなした名門一族の出身者でした。そんな王羲之の書の中で最も有名なのが『蘭亭序』(らんていじょ)です。この作品を抜きに書の世界を語ることはできないと