2012年10月、名古屋高裁で勝訴判決を受け、涙ながらに会見に臨む鳥居さん=名古屋市内 「終わりがない」といわれる教師の仕事。部活動や生徒指導、授業準備など、その気になれば際限なく見つかる。まじめで責任感が強い人ほど過重労働に陥りやすいとされる。 その末に倒れたとしても、「自主的に働き過ぎた」のか、「やらざるを得なかった」のか、過労の立証は困難を極める。愛知県豊橋市立石巻中学校の教師だった鳥居建仁さん(52)はその点をめぐり、地方公務員の労働災害を審査する地方公務員災害補償基金(地公災)と10年以上、争った。 2002年9月に校内で脳内出血で倒れ、脳に障害が残った。直前1カ月の時間外労働は128時間で、脳内出血は過労が原因だったと主張したが、地公災は「職務命令は認められず、自主的な勤務だった」として「公務外」と判断した。審査請求、再審査請求でも結論は変わらなかった。 親族は不服として提訴。