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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (72)

  • クルーグマンと日本の国民経済計算 - himaginary’s diary

    クルーグマンが小林慶一郎氏の批判にブログで反論している。クルーグマンが財政による景気刺激を訴えるあまり不良債権処理の必要性を蔑ろにしている、という小林氏の批判に対し、そんなことはない、ロバート・ライシュと混同しているのではないか、と書いている。 このクルーグマンエントリは池田信夫氏も取り上げ、小林氏のクルーグマン批判は確かに正しくないが、不良債権処理が景気回復につながった、という論旨そのものは正しい、と述べている。池田氏はその傍証として、日銀短観の貸出態度DIが2003年から拡大したことを挙げている(氏はクルーグマンブログのコメントでも同様の指摘をしている)。 それに対しクルーグマンは、日において不良債権処理が景気回復につながった、という小林氏の見方を首肯していない。その理由として、2003年以降、投資は伸びず、輸出が景気回復を主導したことをグラフを用いて示している。 小生はクルーグマン

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  • 輸出は経済成長に貢献したか?−産業連関表を用いた分析 - himaginary’s diary

    11日エントリおよびそのコメント欄で、2003年以降の景気回復を輸出主導であると主張するならば、(クルーグマンを含む多くの経済学者が行なったような)純輸出をベースに論考するのは誤りである、ということを述べた。というのは、実質ベースの純輸出というものは交易条件の悪化を織り込んでおらず、交易条件の悪化を織り込んだ名目ベースの純輸出では経済成長への貢献度がゼロに近くなってしまうからである。 これは拙ブログで兼々主張してきたことの繰り返しであったが、同時に、経済成長が輸出に依存したこと自体を否定しているわけではなく、たとえば輸出の投資に与えた波及効果を産業連関分析で計測する、といった手法でその依存度合いを計測することはできるだろう、とも述べた。 上記コメントを書いたときは、漠然と産業連関表を駆使した格的な研究をイメージしていたが、良く考えてみれば、集計値ベースの大雑把な分析ならばそれほど手間を掛

    輸出は経済成長に貢献したか?−産業連関表を用いた分析 - himaginary’s diary
    ownernism
    ownernism 2009/04/17
  • 経済学者の立ち位置の見取り図 - himaginary’s diary

    12日エントリのはてブで、経済学者のベン図かマトリックスがあれば良いのに、と言うコメントがあったので、ふと思い立ってとりあえず簡単なものを作ってみた。 切り口は単純で、縦軸が共和党支持vs民主党支持、横軸がニュークラシカル(新しい古典派)vsニューケインジアンの2軸。図中の経済学者の名前は取りあえず思いついた米国の大物学者しか書いていない。しかも、ニュークラシカルの人は皆シカゴ学派という雲でまとめてしまった。ただ、バローはロバート・ワルドマンが半塩水と評したのに敬意を表し、ニューケインジアン寄りに独立させてみた。 また、ほとんど定義により、第2象限(ニュークラシカルの民主党支持)は存在しないので、進入禁止のマークを立ててみた。 少し前に、財政刺激策を支持するか否かで米国の経済学界を二分する論争が巻き起こったが、こうしてみると、その切り分けは、ワルドマンがこだわるような淡水(ニュークラシカル

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  • ブラック・スワンなんか怖くなくなる10の方法 - himaginary’s diary

    ナシーム・ニコラス・タレブが、ブラック・スワンに振り回されない世界を作る10の原則を提示している(Economist's View経由)。 脆いものは小さなうちに壊せ Too big to failの事態に陥るのを避ける。今の経済の仕組みでは、最もリスクが高いもの、即ち最も脆いものが最も大きくなってしまう。 損失を社会に押し付けて利得を民間が得る仕組みはNG それは資主義と社会主義の最悪の組み合わせ。1980年代のフランスでは社会主義者が銀行を乗っ取ったが、2000年代の米国では銀行が政府を乗っ取った。シュールな世界だ。 救済が必要なら国有化すべき。救済無用の存在は、自由で小さくリスクに耐えられる主体となるべき。 目隠ししてバスを運転して(ぶつけた)人たちに新しいバスを与えるな 大学、規制当局、中央銀行、政府、経済学者のいる各種機関が失敗を犯した。 「インセンティブ」ボーナスを受け取る人

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  • 日本の鏡像としてのカナダ - himaginary’s diary

    Worthwhile Canadian InitiativeのStephen Gordonのこの4/5エントリが面白い。ここで彼は、2002年第1四半期から2008年第3四半期までのカナダの実質GDPの伸びを分解し、クルーグマンが示した日のGDPの伸びの要因分解と対照させている(ただ、さすがにクルーグマンのようないい加減な図ではなく、GとIを独立して表示している)。日とは逆に、カナダはこの間の純輸出の経済成長への寄与度がマイナスとなっている。 実は当に面白いのはこのエントリ自体ではなく、ここからリンクが張られている3/11エントリである。そこでGordonは、この純輸出のマイナスの寄与が生じたメカニズムを分かりやすく説明している。以下にその説明を要約してみる。 カナダは一次産品輸出国なので、2002年以降の商品価格上昇の恩恵を被った。ビールとピザという2財モデルでその仕組みを説明して

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  • クルーグマンへの公開書簡・続き - himaginary’s diary

    昨日のエントリで取り上げたサムナーのクルーグマンへの公開書簡には、クルーグマンから反応があった(ということをコメント欄で教えてもらった)。ただ、その返事があまりに素っ気無かったので、そのエントリに、さすがにそれはないんじゃない?とクルーグマンを批判するコメントが付いている。以下にいくつかピックアップしてみる。 Mr. Winston:「quick responseというよりpoor response。ちゃんと読んだ?」 Jeremy Goodridge:「クルーグマンがトービンについて評価するように'nice'であることの価値を示す反面教師」 DJD:「うわ、元の書簡の9割を無視した嫌な返事だ。クルーグマンが返事することを期待していたけど、するんじゃなかった」 タイラー・コーエンもクルーグマンが肝心なところに答えていない、と書いている。サムナー自身もクルーグマンへの返事を書いたが、戸惑いを

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    ownernism
    ownernism 2009/03/04
  • クルーグマンへの公開書簡 - himaginary’s diary

    スコット・サムナーというベントレー大学経済学部教授がブログ上で出したクルーグマンへの公開書簡が話題になっている。内容は、なぜリフレ政策を支持しないのか、というもの。タイラー・コーエンが絶賛しているほか、Econlogのアーノルド・クリングも紹介している。 サムナーはリフレ政策(ただしリフレという言葉自体は使っていない)を推し進めるべき理由として、以下の6つの点を挙げている。 歴史的経験 ルーズベルトの時代に金位制を離れることによりデフレをインフレに転じた実例がある。 改革が容易 量的金融緩和の前に、まず準備預金への付利をやめるべき。それは簡単にできる。あるいは一歩進めて、超過準備預金へのペナルティ金利を課しても良いのではないか*1。 量的金融緩和 皆が思っているほど手段が限られているわけではない。歴史上の有名な流動性の罠の2つの例、すなわち1930年代の米国と最近の日においては、前者は

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  • 実質化の罠 - himaginary’s diary

    クルーグマンがこのブログエントリで日の2003-2007年の景気回復を取り上げ、純輸出がその景気回復のエンジンだったと述べている*1。そうした考えの問題点についてはここに書いたが、クルーグマンは実際に分析データを示しているので、それに沿って彼の議論の問題点をまとめてみる。 まず、2003-2007年の暦年ベースのGDPの伸び率と寄与度を、内閣府HPのデータ(実質、名目)から改めて作成してみると以下のようになる。 名目 実質 国内総生産 5.20 9.42 民間最終消費支出 1.77 2.98 民間住宅 -0.11 -0.30 民間企業設備 3.27 3.49 民間在庫品増加 0.67 0.66 政府最終消費支出 0.80 1.06 公的固定資形成 -1.35 -1.56 公的在庫品増加 0.02 0.02 純輸出 0.13 3.21 この表とクルーグマンのグラフを比較してみると、実質G

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  • 円安バブル論というバブル - himaginary’s diary

    竹中平蔵氏が以下のように書いている(注:閲覧には無料の会員登録が必要)。 確かに外需の低下がGDPの大幅減少を招いているが、そもそも改革が停滞し、内需が成長しなかったことにこそ、経済悪化の質がある。同時に円安によって外需関連産業が実力以上に拡大していたのを認めなければならない。つまり、米国には住宅バブルが発生したが、日では円安バブルが生まれていたのである。マイナス12.7%という数値は、円安バブルの崩壊も意味している。 日経済新聞 また、伊藤元重氏も以下のように書いている。 ・・・今回の世界的金融危機は、日経済の一番弱い所を突いてきたとも言えるのだ。 最近の10年近い超円安の中で「日で生産して海外に輸出していく」というビジネスモデルがあまりにも拡大しすぎたのである。ある意味では輸出バブルが起きていたと言ってもよいかもしれない。 為替レートの動きを見ると分かりやすいかもしれない。昨

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  • 純輸出増大の要因は何だったのか? - himaginary’s diary

    文藝春秋の2009年3月号で野口悠紀雄氏が以下のように書いている。 そもそも、90年代まで日の実質GDPに純輸出が占める割合はおおよそ1%程度だった。それが2007年には5%にまで膨らんでいる。日経済がこれほど外需依存になったのは、2002年以降のことである。 この輸出依存を加速したのが、2003年から2004年にかけて、財務省が行なった為替介入である。 ・・・ しかし、財務省が大規模な為替介入を行なったために、当然起きるはずの円高が起きず、円安バブルは膨らみ続けた。それがアメリカ住宅バブルに連動し、今回の世界金融危機に至ったのである。 ・・・ こうして見てくると、日はバブルの共犯者どころか、主犯の一人ではないか、とすら思えてくる。 ここでもまた経済自虐史観が繰り返されている。 また、財務省の大規模な為替介入が円安をもたらすどころか円高を緩和するのに精一杯だったこと、そのため輸出促

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  • 金は天下の回りもの - himaginary’s diary

    デロングがここでジョン・コクランを批判する際に持ち出した例え話が面白い。 登場人物 アリス、ビバリー、キャロル*1 前提 ビバリーは2ヵ月後にキャロルに返すべき500ドルを持っている。 アリスとキャロルは失業してブラブラしている。 シナリオその1 2ヶ月後にビバリーがキャロルに500ドル返す。おしまい。 シナリオその2 ビバリーがアリスに500ドルで家のテラスを作ってもらうことにする。 アリスはその売掛金でキャロルに事を作ってもらう。 ビバリーはキャロルに500ドル返す代わりに同額を彼女から借り入れる。 (担保は増築により資産価値の増した自宅) ビバリーは手元に残った500ドルをアリスに工事代金として支払う。 その金でアリスは事代をキャロルに支払う。 シナリオ1でも2でも現金500ドルが最終的にビバリーからキャロルに渡ったことに変わりはないが、それに加えて、シナリオ2では、 (a)アリ

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  • 2003年に何が起きたのか? - himaginary’s diary

    30日のエントリで、2003年の溝口財務官の為替介入について取り上げ、結局これはクルーグマンの1999年の論文の一節に書かれた政策を実際に実行したものだ、と論じた。 その翌日(12/1)、このエントリに大幅に加筆した。当初は、てにをはを少し直すだけのつもりだったが、そのうちにあることに気づいて、それについて考えているうちに、いつの間にかクルーグマンからの引用箇所を増やし、文章も追加し、グラフを2枚足していた。 最初このエントリを書いたときは、財務官僚にしては珍しく経済を正確に理解している男が、日銀が渋っていたリフレ政策を為替介入にかこつけて実施し、日経済を回復させた、という一種の英雄譚として2003年の溝口財務官の行動を理解していた。そして、彼のその行動が、結果的にはクルーグマンの日への政策提言を実現した形になった、という主旨でエントリを書いた。 だが、一昨日のこのエントリを見直してい

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