たった1人のものまね芸人の意地と情熱が、織田裕二という巨大な偶像を破壊した。彼の名は山本高広。山本が開発した「織田裕二のものまね」は、単なるお笑い芸の域を超えて、大物俳優の人生を揺さぶる衝撃を与えることになった。 山本高広の最大の功績は、「織田裕二」という人物を「笑ってもいいもの」として世間に提示した、ということにある。山本高広という免罪符を得たことで、私たちは織田裕二を笑う自由を手に入れたのだ。 『世界陸上』のメインキャスターとして、子供のように無邪気に興奮する織田裕二。数々のドラマや映画で、独特のハイテンションな演技を見せる織田裕二。振り返ってみれば確かに、織田はもともと面白い存在だったのだが、それを意識している人はほとんどいなかった。本人が真剣だから、何となく笑ってはいけないような空気ができあがっていたのだ。その空気に流されて、私たちは長い間、織田裕二を笑うことを忘れていた。 だが、
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