明治大学加藤和久教授の記事でも指摘されているように、わが国の世代間格差は先進国でも最悪の水準であるものの、高齢化の進行による高齢有権者の増加と若者の低投票率とにより、政治の視線はもっぱら高齢者層に熱く注がれており、現時点では、高齢者に有利な受益負担構造の既得権を打破するのは困難な状況となっている。つまり、世代間格差問題と政治過程は表裏一体の関係にある。 今後、一層の高齢化が進展することを考えると、小黒一正一橋大准教授の記事にもある通り、高齢世代による若者世代に対する世代間搾取が強化される可能性が高い。そこで、高齢者の政治的なパワーを削ぎ、若者世代の政治的パワーを強化するために、ドメイン投票制度、年齢別選挙区制度等様々な方法が提案されるに至っている。地方部に多い高齢者と都市部に多い若者の一票の価値のバランスを回復し、政治的高齢化(political ageing)に対抗するものと期待されてい