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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (13)

  • 2019年の新書 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月25 2019年の新書 カテゴリ:その他 去年の「2018年の新書」のエントリーからここまで51冊の新書を読んだようです。 今年の前半は中公の歴史ものレベルが非常に高く、上半期は2017年に引き続いて「中公一強か?」と思いましたが、下半期は岩波が巻き返した印象です。特に岩波の9月のラインナップは見事でした。ちくまは夏くらいまでは良かったけど秋以降のランナップは今ひとつピンとこずで(見返してみたら去年も同じようなことを書いていた)、他だとNHK出版新書の企画がなかなか面白かったと思います。 まずはベスト5とそれに続く5冊を紹介します。 小塚荘一郎『AIの時代と法』(岩波新書) 今年のベスト。「第4次産業革命」とか「ソサエティ5.0」などの言葉が飛び交い、AIや情報技術の発展によって世界の姿が一変するようにも言われますが、そう言われると「そんなことはないだろ」と言い返したくなる人も多いと

  • 岡本隆司『世界史序説』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月15 岡隆司『世界史序説』(ちくま新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 新書だけでも、『李鴻章』、『袁世凱』(ともに岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『日中関係』(PHP新書)、『中国の論理』(中公新書)など精力的に著作を発表している著者ですが、今回のタイトルはなんと『世界史序説』。近年、流行しているグローバル・ヒストリーに対し、東洋史の立場から「もう一つの世界史」を提示するという非常に野心的な内容となっています。 正直なところ、著者の描き出す世界史像がどれだけの実証性を備えているものなのかはわかりませんが、地中海→大西洋→グローバルといった形で描き出されることが多い「西洋史」からの「世界史」ではなく、農耕民と遊牧民が混ざり合うユーラシアから描き出された「世界史」は非常に刺激的です。 目次は以下の通り。 はじめに 日人の世界史を 第1章 アジア史と古代文明 第2章 流動化

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    oyoyom 2018/09/13
  • 西山隆行『アメリカ政治講義』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月23 西山隆行『アメリカ政治講義』(ちくま新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 一昨年に出た『移民大国アメリカ』(ちくま新書)が非常に面白かった著者によるアメリカ政治全般の解説書。 このような概説書的なはどうしても制度の説明+αとなりがちで、なかなか読んでいて面白いという形にはなりにくいのですが、このは違います。 アメリカ政治のニュースに接していて感じる疑問、例えば、「民主主義がさかんな国なのになぜ投票率が低いのか?」、「「小さな政府」にもかかわらず常に減税が主張されるのはなぜか?」、「銃規制が進まないのはなぜか?」などに沿う形で、うまくアメリカ政治制度の説明を織り込んでいます。 「はじめに」や「あとがき」によると政治学を専攻するゼミの学生に疑問や感想などを出してもらい、それをもとにして書を書いたとのことですが、それがうまくはまっていると言えるでしょう。 アメリカ政治にそれ

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    oyoyom 2018/06/26
  • 水野一晴『世界がわかる地理学入門』(ちくま新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月10 水野一晴『世界がわかる地理学入門』(ちくま新書) 8点 カテゴリ:社会8点 これは全国の地理が専門ではないのに地理を教えている社会科の教員に強くお薦めできる。 構成としては、熱帯気候、乾燥・半乾燥気候、寒帯・冷帯気候、温帯気候の4章からなっていて、それぞれの自然、気候メカニズム、農業、住民生活を紹介する形になっているのですが、それぞれ教科書の記述等よりも少しずつ深掘りする形になっていて役に立つと思います。 また、狩猟採集民や遊牧民の生活などについても詳しくとり上げているので、世界史などを教える教員にも得るものが多いと思います。 と、とりあえず教員の立場からこのの魅力を語ってしまいましたが、教員ではない人が読んでも面白いになっていると思います。 カラー口絵のナミブ砂漠を移動する霧や、赤いパウダーを塗ったナミブ砂漠に住むヒンバの女性、チベット仏教ニンマ派の怪しげな曼荼羅などを見

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    oyoyom 2018/05/14
  • 岩崎育夫『入門 東南アジア近現代史』(講談社現代新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月12 岩崎育夫『入門 東南アジア近現代史』(講談社現代新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 新書1冊で東南アジアのASEAN10に東ティモールを加えて11カ国の近現代史をたどるという欲張りな構成を持ったですが、「多様性の中の統一」というキーワードのもと、うまくまとめてあると思います。 もちろん、個々の国に関しては、「もう少しここがほしい」といった部分もありますが、東南アジアという地域のポイントを上手く押さえた内容に仕上がっています。 目次は以下の通り。 序章 東南アジアの土着国家 第一章 ヨーロッパの植民地化――16~19世紀 第二章 日の東南アジア占領統治――1941~1945年 第三章 独立と混乱――1945~1964年 第四章 開発主義国家と民主化――1960年代後半~1990年代 第五章 経済開発と発展――1960年代後半~2000年代 第六章 地域機構ASEANの理想と

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    oyoyom 2017/02/13
  • 川名壮志『密着 最高裁のしごと』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月20 川名壮志『密着 最高裁のしごと』(岩波新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 最高裁の仕組みと、近年の最高裁の変化についての大事なポイントを、実際の最高裁の判決に即しながら読み解いてみせた好著。ある程度硬いを読み慣れている身からすると、噛み砕きすぎていると感じる部分もあるのですが、易しい内容ながらもその分析は深いところまで届いていると思います。 著者は、佐世保で小6女児が同級生に殺害された事件のその後を描いた『謝るなら、いつでもおいで』を書いた毎日新聞の記者。『謝るなら、いつでもおいで』は未読ながらその評判は聞いていましたが、やはり力のある書き手ですね。 目次は以下の通り。 第1部 家族のあり方を最高裁がデザインする(民事編) 第1章 わが子と思いきや赤の他人だった ―親子関係不存在確認訴訟でみる最高裁のしくみ 第2章 夫は「主人」ではない のアイデンティティ ―夫婦別姓に

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    oyoyom 2016/12/20
  • 伊藤邦武『プラグマティズム入門』(ちくま新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    1月25 伊藤邦武『プラグマティズム入門』(ちくま新書) 8点 カテゴリ:思想・心理8点 アメリカで生まれた哲学思想、「プラグマティズム」の入門書。前半は、まさに「入門」という感じでパース、ジェイムズ、デューイといったプラグマティズムの思想家たちを紹介していきますが、中盤から後半にかけては「入門」とは思えない密度の濃い内容で、ほとんど「アメリカ哲学史」を語っているような内容です。 目次は以下の通り。 序章 プラグマティズムとは何か (複数の誕生と再生、ジェイムズの考えた「プラグマティズムの意味」) 第1章 源流のプラグマティズム (パース、ジェイムズ、デューイ) 第2章 少し前のプラグマティズム (クワイン、ローティ、パトナム) 第3章 これからのプラグマティズム (ブランダム、マクベスとティエルスラン、ハークとミサック) 第1章から第3章に下に書かれた名前がとり上げられている思想家なので

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    oyoyom 2016/01/28
  • 丸島和洋『真田四代と信繁』(平凡社新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月9 丸島和洋『真田四代と信繁』(平凡社新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 来年の大河ドラマが真田幸村(信繁、このでは信繁の名が正しく幸村という名は江戸時代の創作であるとしている)を主人公にした『真田丸』ということで、真田氏関係のが続々と登場する(した)と思いますが、これはその中でおそらくレベルの高い。 戦国大名を研究する気鋭の学者が、しっかりとした歴史学の方法のもと史料を読み解きながら、真田家と真田家を取り巻く状況を丹念に、そして戦国時代の構造を大胆に描いて見せています。 特に戦国好きが高じて史学科に行きたいと考えている高校生などがいたら、ぜひこのを読むといいと思います。歴史学者がどのように歴史にアプローチしているのかがわかるような内容にもなっています。 目次は以下のとおり。 一章 真田幸綱 真田家を再興させた智将 二章 真田信綱 長篠の戦いに散った悲劇の将 三章 真田昌

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    oyoyom 2015/12/15
  • 日本再建イニシアティブ『「戦後保守」は終わったのか』(角川新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月17 日再建イニシアティブ『「戦後保守」は終わったのか』(角川新書) 7点 カテゴリ:政治・経済7点 『民主党政権 失敗の検証』(中公新書)の送り出した、船橋洋一が理事長を務めるシンクタンク「日再建イニシアティブ」が「戦後保守」について分析した。 目次と執筆者は以下のとおりで、『民主党政権 失敗の検証』とかぶっている執筆者は中野晃一と中北浩爾になります。 序章 戦後政治の「中道保守」(中野晃一) 第一章 「戦後保守」の軌跡(村井哲也) 第二章 衰退する「中道保守」――派閥政治の変容と終焉(中北浩爾) 第三章 経済財政政策――高度成長から負の分配へ(内山融) 第四章 「村山コンセンサス」の形成と課題(ジェニファー・リンド) 第五章 メディア環境・世論と政治の座標軸(逢坂巌) 第六章 「中道保守」と外交安全保障(宮城大蔵) 第七章 少子化・女性・家族と「戦後保守」の限界(杉之原真子

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    oyoyom 2015/11/19
  • 内田良『教育という病』(光文社新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月28 内田良『教育という病』(光文社新書) 7点 カテゴリ:社会7点 ネット上で柔道事故や組体操のリスク、「2分の1成人式」の問題点などを指摘してきた著者の今までの問題発信や提言をまとめた。間違いなくどこかの出版社が新書のオファーを出していると思っていましたが、若手の社会学者の起用では定評のある光文社でしたね。 基的にネットで読んでいたものも多かったですが、の出版をきっかけにしてより多くの人に知ってほしい内容ですし、教育現場でリスクが無視されてしまうという根的な問題についても、その原因を考察しようとしています。 目次は以下のとおり。 【序 章】 リスクと向き合うために ―― エビデンス・ベースド・アプローチ 【第1章】 巨大化する組体操 ―― 感動や一体感が見えなくさせるもの 【第2章】 「2分の1成人式」と家族幻想 ―― 家庭に踏む込む学校教育 【第3章】 運動部活動における

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    oyoyom 2015/07/09
  • 國分功一郎『近代政治哲学』(ちくま新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月18 國分功一郎『近代政治哲学』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:政治・経済7点 社会契約論を中心とした近代政治哲学を読み直し、そこに現在の民主主義の問題点の原点や突破口を探ろうという試み。 構成としてはボーダン、ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントを順にとり上げていくスタイルなので教科書的に見えますが、小平の都道建設問題に積極的に関わった著者の問題意識が色濃く反映されています。 スタイルや問題意識は同じちくま新書の重田園江『社会契約論』に近いものがあると思います。 目次は以下の通り。 第1章 近代政治哲学の原点―封建国家、ジャン・ボダン 第2章 近代政治哲学の夜明け―ホッブズ 第3章 近代政治哲学の先鋭化―スピノザ 第4章 近代政治哲学の建前―ジョン・ロック 第5章 近代政治哲学の完成―ジャン=ジャック・ルソー 第6章 近代政治哲学への批判―ヒューム 第7章 近代政治

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    oyoyom 2015/05/03
  • 平岡昭利『アホウドリを追った日本人』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月11 平岡昭利『アホウドリを追った日人』(岩波新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 台風情報などでよく聞く南大東島。この島は周囲を20メートルほどの断崖絶壁で囲まれた島で、人が上陸することはかなり難しい島でした。ところが、1900年になるとこの断崖をよじ登って島に上陸する人々が現れます。しかも、その人々は沖縄の人々ではなく200キロ以上離れた伊豆諸島の八丈島からやってきた人々でした。 「なぜ八丈島の人々は遠い島の断崖絶壁をよじ登ったのか?」これが著者をとらえた疑問だといいます。 また、日の最東端の南鳥島。台風などが来ればひとたまりもない絶海の孤島ですが、ここにも明治期の日人は進出していきました。 この日人を南洋の孤島へと駆り立てたもの。それこそがこののタイトるにも出てくるアホウドリなのです。 このは、「アホウドリを追った日人」の姿を追うことで、日の「南洋進出」の原動力

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    oyoyom 2015/04/16
  • 高田博行『ヒトラー演説』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月5 高田博行『ヒトラー演説』(中公新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 著者は近現代のドイツ語史を専攻とする言語学よりの人で、帯には「25年間150万語の演説データから扇動政治家の実像に迫る」との文句。 ヒトラーの代表的な演説をとり上げてそのレトリックに迫るようなかと思いましたが、演説家、そして政治家としてのヒトラーを時代ごとに追う内容で、思ったよりも伝記的な色彩の強いでした。 ですから、ヒトラーのことをある程度知っている人には少しまだるっこしい部分もあるかもしれません。ただ、最後まで読むとヒトラーの演説の一番のキーポイントが浮かび上がるちょっと凝った構成になっています。 目次は以下の通りです。 序章 遅れた国家統一 第1章 ビアホールに響く演説―一九一九~二四 第2章 待機する演説―一九二五~二八 第3章 集票する演説―一九二八~三二 第4章 国民を管理する演説―一九三三~三四

    高田博行『ヒトラー演説』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
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    oyoyom 2014/07/09
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